【UX LIBRARY】乱立したデジタル接点、どう統廃合する? 「撤退/統合/改善」の基準とは?
「UX LIBRARY」とは?
「UX LIBRARY」は、ビービットがこれまで発信してきたUXに関する知見・情報を厳選し、コンパクトに再編集してお届けするシリーズです。
1分で分かるこの記事のポイント
今回は、レポート「接点過多 サービス統廃合のためのジャーニー設計」を再編集してお届けします。
この記事には以下の内容が含まれます。
●デジタル接点の統廃合を実践しようとすると、以下のような課題に直面しやすい。
・何から考えてどのように進めていけば良いのか分からない
・各事業部にこだわりや狙いがあるため、議論がなかなか進まない
・統合の結果、ひとつの接点に機能が過剰に搭載されてしまう
●統廃合方針は以下4つの手順で、企業側の憶測ではなく、実際のユーザ調査を根拠に策定することが重要である。
・ユーザの目的・期待の調査
・ジャーニーの記述
・行動フローと接点・機能の紐づけ
・統廃合方針の検討
●ユーザの行動フローを基準にすることで、乱立した接点の役割を整理しやすくなり、関係する部署間でも合意を得やすくなる。
イントロダクション:なぜ今、デジタル接点の統廃合が求められているのか?
AIの発展・浸透に伴い、特にデジタルサービスの開発が低コスト化・高速化しています。一方、サービス開発のハードルが低くなると、ユーザに選ばれない・使われない接点がひたすら量産されていく事態にもつながりかねません。AI活用による売上/利益の向上が一層シビアに求められている昨今、AIを活用して開発したが成果につながっていないサービスは、「撤退/統合/改善」のいずれかを迫られることになります。
ビービットのレポート「接点過多 サービス統廃合のためのジャーニー設計」では、DXブームによるデジタル接点の乱立と、接点統廃合の方法論を解説しました。AIを使ったサービス開発が本格化する中で、同レポートで解説した方法論が改めて必要とされているように思います。
そこでこの記事では、レポート「接点過多 サービス統廃合のためのジャーニー設計」を再編集し、「接点統廃合の方針策定方法」について紹介します。
それでは「UX LIBRARY」本編をお楽しみください。
デジタル接点の統廃合はなぜ難しいのか?
デジタル接点統廃合の方法論・知見に精通していない企業が統廃合を実践しようとすると、以下のような課題に直面しやすい。
●接点を統廃合したいが、そもそも何から考えてどのように進めていけば良いのか分からない
●接点を担当する各事業部が縦割りで分断されているうえ、それぞれにこだわりや狙いがあるため、接点の統合がなかなか進まない
●明確な軸や根拠なしに既存接点の統合を進めた結果、ひとつのデジタル接点に機能が過剰に搭載されてしまい、かえってユーザに不便だと思われてしまったり、先行サービスに勝てなくなったりする
こうした課題があるために、サービス統廃合の指針を決定することを目指す社内プロジェクトは頓挫することが多い。
デジタル接点の統廃合をどのように進めるのか?
以下では、接点統廃合の方法論を下記4つの手順に分けて順に解説していく。
1. ユーザの目的・期待を調査する
2. ジャーニーを記述する
3. 行動フローと接点・機能を紐づける
4. 接点統廃合の方針を検討する
1. ユーザの目的・期待を調査する
まず、「ユーザが自社のデジタル接点をどのような目的で、何を期待して利用しているのか」を明らかにする。
このとき、ユーザの目的・期待を、企業側の妄想や憶測で設定しないように注意しなければならない。企業が想定しているのとは全く異なる接点の使用目的や、企業が考慮していなかったため既存接点で上手く対応できていないユーザの期待などが取りこぼされてしまうからだ。そうならないためにも、実際のユーザを対象にヒアリングやインタビューといった調査を実施することが必須となる。
そうして一つひとつのデジタル接点について調査を進めていくと、自社がターゲットとするユーザの代表的な目的・期待が浮かび上がってくる。
2. ジャーニーを記述する
続いて、手順1で判明したユーザの代表的な目的・期待を踏まえ、ユーザのジャーニーを記述していく。ここでいう「ジャーニー」とは、ユーザが自身の目的を達成するために辿っていく、重要な行動(行動フロー)の連なりを指す。
ジャーニーを記述する際にも、企業側の「こう行動してくれると嬉しい」「恐らくこう行動するのではないか」といった妄想や憶測を持ち込まず、実際のユーザを対象とした調査結果を基に記述するよう注意しなければならない。
3. 行動フローと接点・機能を紐づける
次に、手順2で記述したジャーニーを構成する各行動フローについて、自社のどの接点・機能が対応するかを考える。
例えば、「日々の金銭的なやりくり」を目的とするジャーニーの場合、行動フローと接点・機能の対応は以下のように整理できる。
●給料日に、振込金額や残高全体の増減を確認する→通帳アプリ
●増減の理由を大まかに把握する(クレジットカード、光熱費、振込・振替など)→通帳アプリ
●増減の理由をより細かく把握するために、内訳を確認する→家計簿アプリ
●判明した増減の理由に対して、必要な場合は対応策を検討する(→ユーザの頭の中)
4. 接点統廃合の方針を検討する
行動フローと接点・機能の関係が明らかになると、接点統廃合の方針を立てられるようになる。
ここでは以下3つのケースを取り上げ、それぞれについてどのような統廃合の方針が立てられるかを解説する。
●ジャーニー内で接点の役割が重複しているケース
●複数の接点・機能が共通のジャーニーを支援しているケース
●ジャーニーの支援に貢献していない接点があるケース
■ ジャーニー内で接点の役割が重複しているケース
図1のように、同一の行動フローを複数の接点が支援しており、役割が重複している場合、どちらかの接点の廃止を検討すべきである。
■ 複数の接点・機能が共通のジャーニーを支援しているケース
図2のように、共通のジャーニーを支援しているにもかかわらず接点が複数に分かれている場合、それらの接点を統合すべきである。統合することで、ジャーニー全体を単一の接点で支援できるようになり、提供価値の強化につながる。
■ ジャーニーの支援に貢献していない接点があるケース
図3のように、ジャーニーの支援に貢献していない接点がある場合、その接点を廃止するか、あるいはジャーニーの支援に貢献できるよう機能を改善すべきである。
このように、ユーザの行動フローと接点・機能の紐づけからデジタル接点の統廃合に関する指針を立てる方法には、「既存接点・機能の役割や位置づけを整理しやすい」というメリットがある。ユーザの行動フローを基準に置くことで、接点・機能の役割に重複がないか、統合することで提供価値が強まる接点・機能がないかなどを整理しやすくなる。
また、統廃合に必要な社内での合意形成も容易になる。デジタル接点の統廃合について関係部署間でコミュニケーションをする際、ユーザのジャーニーを根拠として、「この接点はこの行動支援の中でより大きな価値を発揮する」という見立てをベースにすることで、統廃合の方針に納得感を持ちやすくなる。
UX LIBRARYは以上です。レポートの本編では、行動フロー・デジタル接点の具体例も交えて、記事で解説した統廃合方針の策定ステップをより詳しく解説しています。
このテーマが気になった方におすすめの資料
今回ご紹介した「接点過多 サービス統廃合のためのジャーニー設計」は、ユーザのジャーニー・行動フローを起点とした接点統廃合の方法論をテーマにしています。このテーマに関心がある方には、以下2つのコンテンツもおすすめです。
レポート「顧客接点戦略のリデザイン これからの2年で何を変えるべきか」
Agentic AIやゼロクリック等が注目されているAI時代には、接点の統廃合だけでなく、顧客接点全体の戦略や、各接点の役割から再考していくことが求められます。その際にも、この記事で紹介したユーザ行動起点のアプローチが有効です。本レポートでは、AI時代に生じている市況・顧客行動の変化を踏まえ、ユーザ行動に基づく中長期的な顧客接点戦略のリデザイン方法を解説しています。
レポート「OMOの終着点 世界は完全オンラインサービス化するのか」
接点の統廃合を考える際、「オンライン・オフライン(あるいはデジタル・リアル)」という分類が持ち出されることがあります。昨今では、AIに代替されない価値提供の場として、改めてオフライン/リアル接点に注目が集まっています。しかし、そもそもこうした分類は妥当なのでしょうか。本レポートではこの点を問い直し、オンライン・オフラインが混ざりあう「真のOMO」を実現し、時代に対応していくためのポイントを解説しています。
ビービットでは、ユーザのジャーニーに基づく接点の統廃合、機能改善など、さまざまなご支援を提供しています。ご関心をお持ちいただけましたら、弊社サービス「UXデザインコンサルティング」の紹介資料をご一読ください。また、ご質問やご不明点がございましたら、問い合わせ窓口までお気軽にご連絡ください。
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