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【UX LIBRARY】顧客のファン化・ロイヤル化を実現するには? LTV戦略を描くためのフレームワーク「ダブルループ」とは?

2026.06.01 Mon.

【UX LIBRARY】顧客のファン化・ロイヤル化を実現するには? LTV戦略を描くためのフレームワーク「ダブルループ」とは?

【UX LIBRARY】顧客のファン化・ロイヤル化を実現するには? LTV戦略を描くためのフレームワーク「ダブルループ」とは?

「UX LIBRARY」とは?

「UX LIBRARY」は、ビービットがこれまで発信してきたUXに関する知見・情報を厳選し、コンパクトに再編集してお届けするシリーズです。

1分で分かるこの記事のポイント

今回は、レポート「ロイヤル化戦略フレームワーク 脱・企業目線のCX経営」の中から、以下を再編集してお届けします。

この記事には以下の内容が含まれます。
1. 顧客と長期的な関係を構築しロイヤル化を促すためには、カスタマージャーニー全体を通して顧客を支援し、その成功を実現しなければならない
2. ビービットが考案した戦略フレームワーク「ダブルループ」を使うことで、顧客体験と収益性が両立するロイヤル化戦略を設計できる
3. ダブルループに沿って考えると、ロイヤル化戦略は以下の3ステップで描くことができる
- 成功状態の定義
- 各ループの設計
- 行動フローの定義とKPI設定

イントロダクション:なぜロイヤル化・ファン化、LTV向上が重要なのか

顧客の価値観・行動の多様化や、デジタルマーケティング手法の成熟化により、新規顧客の獲得はかつてと比べて格段に難しくなっています。この傾向はAIの普及によってさらに加速するでしょう。広告クリエイティブの最適化競争が進むことに加え、AI Overviewなどの影響で検索流入そのものが減少していくと考えられるからです。

こうした環境変化を踏まえると、既存顧客との関係構築——ロイヤル化・ファン化によるLTV向上——が、持続的な事業成長のカギを握ることになります。しかし、新規顧客獲得の領域にはAIDMA(注意・関心・欲求・記憶・行動)やAISAS(注意・関心・検索・行動・共有)といった体系的なフレームワークが存在する一方、LTV向上に特化した有力なフレームワークは、いまだ確立されていないのが現状です。

そこでこの記事では、「ロイヤル化戦略フレームワーク 脱・企業目線のCX経営」を再編集してお届けすることで、顧客関係構築・LTV向上を実現するために有効なフレームワーク「ダブルループ」についてご説明します。

それでは、「ロイヤル化戦略フレームワーク 脱・企業目線のCX経営」をお楽しみください。

ロイヤル化戦略の立案=顧客の成功状態とジャーニーの定義

顧客との長期的な関係構築、ひいては顧客のロイヤル化を実現するためには、「顧客の成功支援」という観点が不可欠だ。これには、ロイヤル化・LTV向上が重視されている背景のひとつである「デジタルとリアルの融合」が関係している。

企業の多くがリアルプロダクトや人的サービスに主軸を置いていた時代には、一つの企業が支援できる顧客行動の幅に限界があった。例えば旅行代理店は旅行プランを提案し、自動車メーカーは移動手段としての自動車を提供するというふうに、各企業は自社のプロダクト・サービスを通じて、顧客行動における特定の「瞬間」のみを支援していた。

しかしその後、デジタルとリアルが融合したことで、下記の図のように単一の企業が一連の行動フロー(=ジャーニー)全体を横断し、顧客をより強力に支援することが可能となった。顧客にとっても、最終的な成功に至るまで自分を支援してくれる企業の方が魅力的だと考えられる。そのため支援するジャーニーの拡張は、企業と顧客の長期的な関係構築・ロイヤル化を実現するための有力な方法となる。

ジャーニー

ロイヤル化戦略を構築することは、目指すべき企業と顧客の関係性、すなわち上の図で示したようなジャーニーを設計することと同義だ。具体的には、「自社は顧客のどのような成功状態を支援するのか」「顧客はその成功状態に至るまでにどのようなジャーニーを辿るのか」を定義するということである。この手順については、このあと「ロイヤル化フレームワーク」という図式を用いて詳しく解説する。

このとき徹底するべきなのは、「このサービスを使わせたい」「こちらのサービスに誘導したい」といった企業目線を捨て、顧客目線から考えることだ。顧客の離脱・休眠を食い止めようとする囲い込み施策が失敗するのは、企業目線でしか施策を考えていないからだ。例えば、「自分にとって興味のない情報がひたすら届くメールマガジン」や「使いもしないクーポンがしつこく通知される会員向けアプリ」は、顧客にとってプレッシャーやストレス以外の何物でもない。顧客との関係を深めるどころか、さらなる離脱・休眠の一因になることさえある。自社の提供する体験が顧客の成功を支援できているか、顧客にとって快適かつ自然な体験の流れになっているかに、常に気を配っておかなければならない。

カスタマージャーニーの3分類

一口に「ジャーニー」を設計するといっても、検討する接点・サービスの数や設計時のテーマはさまざまだ。この点を明確にするため、ビービットではジャーニーを「サービスジャーニー」「ブランドジャーニー」「全社ジャーニー」の3つに分類している。各ジャーニーは以下のように区別される。

1. サービスジャーニー
サービス単体、または店舗・ECなど接点単体のジャーニー。「サービス・接点単体をどれほど高頻度に利用し続けてもらえるか」が設計時のテーマになる。追うべきビジネスゴールやKPI(ダウンロード数、アクティブユーザ数、起動回数、利用機能数など)も、それらの指標を背負う部署部門やチームも明確なため、最も検討しやすいジャーニーといえる。

2. ブランドジャーニー
共通の顧客層に対して近しい価値を提供している複数のサービス・接点をまとめあげたジャーニー。一般に「ブランド」と呼ばれるものだけでなく、「toC / toB事業全体」「富裕層向け事業群」などもブランドジャーニーに分類される。「サービス・接点を顧客にとってどれほど自然な文脈でつなげられるか」が設計時のテーマとなる。サービスジャーニーに比べ、ジャーニー全体として追うべきビジネスゴールやKPIを明確にしにくいことも多く、さまざまな部署部門や事業が横ぐしで連動することから、検討の難易度が高いことが特徴である。

3. 全社ジャーニー
複数のサービス・事業を横断して、会社全体が連動するジャーニー。パーパスやビジョンとして方針や価値が全社に共有されていることはあるが、実態として全社横断のジャーニーが実現されているケースは稀。

ロイヤル化に向けた全社戦略の起点となるブランドジャーニー

個々の接点における体験品質の向上が重要であることは言うまでもないが、全社規模で顧客ロイヤル化を実現させるうえで起点となるのは、2番目に挙げたブランドジャーニーだ。

「全社戦略なのだから『全社ジャーニー』を検討するべきではないのか」と不思議に思った方もいるかもしれない。しかし先ほど解説したように、全社を横断する単一のジャーニーが実現されているケースは稀だ。特に大企業の場合、ターゲットが(toB / toCのように)全く異なるなどの理由から、すべての事業を1つのジャーニーにまとめることが事実上不可能な場合もある。そのため全社戦略は、自社の接点・サービス・事業を提供価値に応じて分類し、複数のブランドジャーニーとして整理した方が検討しやすくなる。

ただし、ブランドジャーニーの検討は難易度が高い。先述した顧客の成功状態も、サービスジャーニーに比べて抽象度が高くなるため定義が難しい。このような事情から、「そもそもブランドジャーニーを設計できない」「何とか複数の接点をつなげてジャーニーらしきものを設計してみたが、そこからどのようにビジネス成果につなげればいいか分からない」といった課題意識を抱える企業も少なくない。

次のセクションでは、このように難度の高いブランドジャーニーの検討を補助する「ロイヤル化フレームワーク」と、さらに具体化するために役立つワークシート(およびその活用法)を紹介する。

ダブルループで描くロイヤル化フレームワーク

ロイヤル化フレームワークの全体像は以下のとおりだ。

ロイヤル化フレームワークの全体像

ロイヤル化フレームワークは、「購買プロセス」を示すファネルと、「利用定着」「ファン化・ロイヤル化」を表す2つの円(ダブルループ)の、合計3つのパーツからできており、プロダクトの認知からロイヤル化までに顧客が辿るジャーニーを示している。

ロイヤル化戦略の立案やブランドジャーニーの設計を行う際、顧客視点を欠かすことはできない。しかし顧客視点にばかり偏ると、現実味を欠いた理想像になってしまったり、利益度外視の施策を立案してしまったりと、ビジネス観点との整合性をつけることが難しくなる。これに対して、ロイヤル化フレームワークにおける理想状態である「ロイヤル化」は、顧客の成功状態の実現とビジネス成果の両立を意味している。そのためこのフレームワークに沿うことで、顧客視点で考えつつも収益性を担保できるようになる。

以下、このフレームワークに沿ってロイヤル化戦略を考えていく際の手順とポイントを簡単にまとめる。

成功状態の定義(ステップ1)
自社が支援する顧客の成功状態を定性的に定義し、成功状態への到達を数値で計測するための北極星指標を定める。売上や成果など企業目線で設定されるKGI(Key Goal Indicator、経営目標達成指標)に対して、北極星指標は顧客目線であることが特徴だ。

各ループの設計(ステップ2・3)
顧客が成功状態に至るまでのファーストループ(利用定着ジャーニー)とセカンドループ(ファン化・ロイヤル化ジャーニー)を設計する。ファーストループでは、顧客がサービスに留まり利用し続けてくれる理由を明確にする。セカンドループは顧客の成功を実現しファン化・ロイヤル化を促すループなので、「自社は顧客のどのような成功状態を支援するのか」「顧客はその成功状態に至るまでにどのようなジャーニーを辿るのか」を具体的に検討する。

行動フローの定義とKPI設定(ステップ4・5)
各ループを具体的なユーザの行動フローにまでブレイクダウンし、ユーザのフェーズ移行を検知するためのKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)を設定する。行動フローをなるべく具体的に記述することで、フェーズの切れ目が明確になり、より適切なKPIを設定することが可能になる。

「ロイヤル化戦略フレームワーク 脱・企業目線のCX経営」の続きでは、ロイヤル化戦略を企業活動レベルまで具体化するために有効なワークショップの実施方法や、ワークショップの効果を最大限高めるための事前準備について解説しています。

Appendix:このテーマが気になった方におすすめの資料

今回ご紹介した「ロイヤル化戦略フレームワーク 脱・企業目線のCX経営」は、顧客のファン化・ロイヤル化を実現する戦略フレームワークをテーマにしています。このテーマに関心がある方には、以下2つのコンテンツもおすすめです。

レポート「CXを統合するブランドジャーニーとは」
ロイヤル化戦略の起点となるのは、顧客層や提供価値が共通・類似している接点・サービスをまとめたブランドジャーニーです。本レポートではこの「ブランドジャーニー」に焦点を当て、その詳細な構想プロセスや、部署・部門の異なる社内関係者との調整や連携を円滑に進めるためのポイントについて解説しています。

レポート「接点過多 サービス統廃合のためのジャーニー設計」
ブランドジャーニーの考え方は、社内に乱立するサイト・アプリなどのデジタル接点を統廃合したり、顧客接点全体における位置づけ・役割を整理するためにも使うことができます。本レポートでは、ブランドジャーニーを起点とする接点統廃合の検討プロセスについて解説しています。

プロダクトやサービスを通じたユーザ・顧客との継続的な関係構築に関心をお持ちの方は、弊社サービス「UXデザインコンサルティング」の紹介資料をご一読ください。また、ご質問やご不明点がございましたら、問い合わせ窓口までお気軽にご連絡ください。

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