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証券業界におけるLTV向上の第一歩とは?AI活用でユーザ理解のスタートダッシュを切る方法

2026.04.09 Thu.

証券業界におけるLTV向上の第一歩とは?AI活用でユーザ理解のスタートダッシュを切る方法

証券業界におけるLTV向上の第一歩とは? AI活用でユーザ理解のスタートダッシュを切る方法

本記事は、無料動画『UX×証券! AIがあぶり出す投資家の実像』のダイジェスト版です。動画内にはより詳細な解説に加え、実際にAIを動かしながら進める実践パートも用意していますので、併せてご活用ください。

  • こんな方にオススメ
    ・証券業界において、「口座開設後のユーザとの関係を維持・強化する」ミッションや「他社との違いをユーザに伝え自社での取引を増やす」ミッションを持っている方
    ・特に、UX / CX改善によるユーザ行動の変容促進や、そのための生成AI活用にご関心のある方
  • この記事の要約
    本記事では、証券業界に訪れている変化を踏まえて、ユーザ理解活動の意義と直面しがちな困難を解説しながら、ユーザ理解活動の第一歩として、生成AIによるロールプレイを提案しています。また、実際にロールプレイの様子をご覧いただける動画も紹介しています。

証券業界で高まる「関係強化」の重要性と効果

証券業界は今、大きな変革の過渡期にあります。ネット証券の台頭に代表される投資行動全般のデジタル化や、LTV型ビジネスへの転換、NISAによる若年初心者層の増加といった動きはすべて、ユーザを理解することによる関係強化の必要性を示唆しています。

「ユーザを理解する」とは、ユーザが自社サービスを利用する前後の行動や困りごと、判断基準といった「ユーザの見ている世界」を理解することを指します。ユーザ理解は、一方向・双方向を問わないコミュニケーション方針の改善や、デジタル接点における機能の追加に活用することができ、成果創出に貢献します。

以下の表は、業界に訪れている変化と、それに対するユーザ理解の効果の一例を具体的にまとめたものです。

区分 背景(現状) ユーザ理解による効果
変化①:
投資行動のデジタル化
  • ネット型の台頭、対面型のデジタル適応
  • 複数企業の使い分けの主流化
ユーザの実態やユーザ目線での自社の強みを、機能やコミュニケーションの軸とすることで、「他社が追加した機能の後追い」に留まらない差別化が可能
変化②:
短期売買モデルからLTVモデルへ
  • 「売買手数料無料」の一般化
  • フィデューシャリー・デューティーの重視
  • 「個別株の売買はAIに聞けばいい」という動き
ライフステージや場面に応じた、ユーザの運用目的や懸念点を踏まえてコミュニケーションを最適化することで、「資産のことはこの会社に任せよう」という信頼関係の構築が可能
変化③:
NISAによる顧客層の拡大
  • 若年層、初心者層の流入
  • 「とりあえず投信」ユーザの増加
ユーザが迷っていることや不安に思っていることを先回りすることで、取引の活性化や、カードやローンなど関連サービスの利用促進が可能

ユーザ理解による成果創出の事例

ユーザ理解は、証券会社における実際の取り組みの中で効果を発揮しています。以下に示すのは、ビービットとの協働プロジェクトによって、メール経由での買付件数を2.5倍に増加させたある企業の事例です。

その企業では当時、NISA制度を利用して投資信託を行うユーザが2回目以降の買付(追加購入)に至らない、という課題を抱えていました。当初は、既存ユーザ向けの定期的なメール施策として、「非課税枠の上限を賢く使うためにランキングを参照しよう」というメッセージと共に人気ファンドランキングの紹介を行っていました。

しかしデータを見てみると、メール開封者のうち2割程度しかファンドの詳細を閲覧していないことが判明。ユーザに対する調査を進めたところ、その原因として「一度ファンドを購入したユーザは、そもそも複数ファンドを持つべきだと認識していない」ということが明らかになりました。

そこでこの企業は「複数ファンドを保有することでリスクを分散させる」というメリットを強調した上で、ファンドの追加購入を訴求するように方針を変更します。その結果、人気ファンドのページへ遷移するユーザ数は2.1倍に伸び、メール経由での買付件数は2.5倍に増加しました。

このように、ユーザの持つ知識や関心、投資の動機や不安を捉える活動は、より効果的な訴求方針の検討、そして成果創出に繋がります。ユーザとの長期的な関係構築がカギを握る今、ユーザの実態を捉え続けることの意義はさらに大きくなっています。

証券業界におけるUX活動のプロセス

一般的なUX活動と同様、証券業界におけるUX活動は以下のようなプロセスで進みます。

1. 一次情報の収集
2. ユーザ仮説の立案
3. 実ユーザへの調査
4. 調査結果の分析・モデル化
5. 施策への反映
6. 施策の効果検証

実際に活動を進める際は、ユーザ仮説や施策仮説の立案と検証を複数回繰り返すことで、より精度の高い理解、より効果的な施策を目指します。

ユーザ理解は何から始めるべきか?仮説立案の意義と障壁

ユーザ理解を深めるには、観察やインタビューで実ユーザと接することが効果的ですが、十分な学びを得るためには事前に仮説を立てる必要があります。しかし、証券会社には、ユーザとの間にある知識や関心の大きな差から、精度の高い仮説を立案しづらいという構造上の困難があります。

- 仮説のあるユーザ調査と、仮説のないユーザ調査の違い

「ユーザは証券取引を行う前後で、こんな行動をしているだろう」「ユーザはこのことに困っているだろう」といった仮説を持ってユーザ調査を行うと、その仮説と異なる動きをユーザが見せた際に鋭く気づくことができます。

しかし仮説立案が不十分だと、漫然とユーザの行動を眺めるだけに終始してしまい、「ユーザはこうやって行動するのか」「だいたい思った通りだった気がする」と曖昧に納得してしまいます。同じ時間のユーザ調査からより深い気付きを得るためにも、仮説は不可欠と言えます。

- 証券業界でユーザ理解を始めにくい、構造的な理由

専門知識や専門用語が多く登場し、国内外における最新情報との関わりも深い資産形成という分野は、ユーザと企業の間でリテラシー格差が生じやすい分野でもあります。企業が「ユーザも当然知っているだろう」「関心があるだろう」と思っていることと、実際のユーザの知識や関心との間に、差異が発生しやすいと言えます。

加えて証券業界には、法令や社内規則によって、口座の開設や取引が禁止・制限されているために、ユーザと同じ体験をすることができないという性質もあります。この性質は、上述した「知識や関心の差」を広げ続ける構造を作っており、結果として証券業界には、「経験を積めば積むほどユーザを理解しにくくなる」というジレンマが生じてしまいます。

そのため、ユーザ調査の準備として仮説を立案しようとしても、十分なアウトプットをもたらすような精度の高い仮説が立案できないというケースが少なくありません。

証券業界でユーザ仮説を作るための最初のアクションとは

ユーザの見ている世界とのギャップが大きい証券業界での仮説立案には、生成AIに擬似的な「ユーザ」として振る舞ってもらうアプローチが有効です。社会一般に対する知識を広く有するLLM(大規模言語モデル)を用いれば、口座を作る前の投資初心者から複数の会社を使い分ける上級者まで、さまざまなユーザを低コストかつ高速で再現可能です。

具体的な指示や回答の内容は、生成AIと実際にやりとりする様子をご覧いただけると簡単にイメージできます。

無料動画『UX×証券! AIがあぶり出す投資家の実像』の約16分20秒から始まる実践パートでは、生成AIと対話しながら、ユーザの生活や資産に関する困りごとに対する仮説をつくる過程をご覧いただけます。各ステップで必要なプロンプトだけでなく、AIとの対話の効果をユーザ理解活動において最大化するためのポイントも解説していますので、ぜひ動画を見ながら、お手元でAIとの対話を実践ください。

なお動画では、生成AIとの対話を経た後に必要な、生身のユーザを対象とする調査のポイントも紹介しています。ぜひ、ユーザ理解に向けた最初のアクションとして、本動画をご活用ください。

UX×証券をもっと知りたい方へ

  • Q. 顧客理解に有効なツールはある?
  • A. デジタル上のユーザ行動は、『USERGRAM』などのツールなどで取得、分析できます。ただし、行動データを分析して改善策を考えるには、ユーザがサイトなどを訪れる目的や抱えている困りごとを理解している必要があるため、やはりユーザ仮説の検討・検証は欠かせません。

    解析ツール『USERGRAM』については、本ページのヘッダー内「ソリューション」からご参照いただけます。ご関心に合わせてご利用ください。
  • Q. ユーザ調査はどの規模で行うべき?
  • A. 精緻な仮説をもとにした行動観察調査の場合、最大10名ほどのサンプルから十分な理解を得ることが出来ます。個々のユーザが持つ価値観や意見ではなく、ユーザが置かれた状況に注目することで、同様の状況におけるユーザ行動を高い再現性を持って検証可能です。
  • Q. ユーザ理解活動のパートナーやコンサルタントはどう選ぶべき?
  • A. 協業パートナーの選定においては、自社がユーザ理解を何に活かしたいのかを考えることが重要です。ユーザ理解は、既存接点の改善や、新規接点の構想・開発、全社方針における戦略策定などに活かすことができますが、ユーザ理解そのものに専門的な知見を持つパートナーとの協業では、そのすべてを網羅できます。

    ビービットは2000年の創業以来、多くの大手企業と協業しながらユーザ理解をビジネスに落とし込んできました。証券をメインに扱う企業を始め、金融業界でご活躍の皆様へのご支援や講演にも豊富な経験がございますので、ユーザ理解にお困りの際はお気軽にお問合せください。

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