サイト改善、アプリ改善、マーケティング施策のPDCAなど、デジタル上の顧客接点をよりよくするための取り組みは、多くの企業で日々行われています。
アクセス解析などのデータを見ながら課題を特定し、改善施策を考え、実装する。そして、その結果を見て次の施策を考える。こうした改善活動を継続している企業も少なくありません。
一方で、改善活動の担当者からは、次のような声を聞くことがあります。
●さまざまな施策を実施しているものの、顧客に本当に響いているという手応えがない
●数字が改善しても、なぜ改善したのかが説明できない
●Google Analyticsなどの定量データは蓄積しているが、そこから次の打ち手につながらない
●改善施策を繰り返しているが、成果が伸びにくくなっている
改善活動を続けているのに、なぜこのような状態に陥ってしまうのでしょうか。
本記事では、サイトやアプリ、マーケティング活動の改善が頭打ちになる背景を紐解きながら、継続的に成果を生み出す改善活動のあり方について解説します。
なぜ、改善を続けているのに手応えが得られないのか?
改善活動が頭打ちになる背景の一つとして、改善の起点が「施策」になっていることが挙げられます。
例えば、Webサイトのアクセス解析をしていて、あるページの離脱率が高いことが分かったとします。すると、「このページの離脱率を下げるにはどうすればいいか?」という問いから、
●情報量を増やす
●ボタンを目立たせる
●導線を変更する
●コンテンツを追加する
といった改善施策を考えていくことになります。
こうした施策が間違っているとは限りません。しかし、このプロセスでは「なぜユーザはそのページで離脱したのか」という問いが十分に扱われていません。
つまり、「何が起きているか」→「何を変えるか」という流れで改善を考えているのです。これを、ここでは「施策起点」の改善と呼びます。
施策起点の改善には、もちろん一定の合理性があります。目の前に改善すべき数字があり、それを改善するための打ち手を考える。短期的な改善を積み重ねるうえでは、効率的な方法でもあります。
しかし、これを繰り返していると、次第に「なぜその施策を行うのか」が曖昧になっていきます。
例えば、離脱率が高いページの情報を増やしたとします。しかし、数字が少し改善したとしても、
●本当に情報不足が原因だったのか
●ユーザが求めていた情報は何だったのか
●今回の改善によって、ユーザの何が変わったのか
までは分からないかもしれません。
その結果、次の改善でも、「前回はこれで数字が上がったから、今回もこれをやってみよう」と、担当者の経験や感覚に頼って施策を選ぶことになります。
施策を打つ。数字を見る。また施策を打つ。改善活動そのものは回っているはずなのに、「顧客に本当に刺さる改善ができている」という手応えが得られない。これが、施策起点の改善が抱えやすい問題です。
なぜユーザの行動を見ると、改善の精度を高められるのか?
施策の良し悪しを判断するためには、その前提となる「ユーザが何を考え、どのように行動したのか」を理解する必要があります。
例えば、ある結婚式場を運営する企業では、来店予約を阻む課題を特定するために、広告からのランディングページ(以下LP)を閲覧しているユーザの行動を分析しました。
具体的には、LPから一度離脱したものの、その後別の導線からウェブサイトを訪れ、挙式プランの詳細ページを見て来店予約に至っているユーザに着目。LPを離脱してから来店予約するまでのサイト内行動や検索クエリなどを追っていくことで、「LPで見つけたプランについて、より詳しい情報を知りたかったのではないか」という仮説を立てました。
そこで、LPのプラン紹介部分から各プランの詳細ページへ遷移できるよう導線を追加したところ、各種プランの遷移率と来店予約数が2倍以上増加しました。
※ この事例の詳細は、こちらの記事でお読みいただけます
小さな改善で、大きな成果を。レックが「小さな結婚式」の来店予約CVを2倍超に引き上げた秘訣とは?
ここで重要なのは、一人のユーザの行動だけを見て答えを決めることではありません。ユーザの行動を丁寧に観察することで、
●このユーザは何をしようとしていたのか
●なぜこの行動を取ったのか
●その背景にはどんな困りごとがあったのか
について、より精度の高い仮説を立てられるようになることです。
定量データからは、「どこで離脱しているか」「どのページが見られているか」といった全体傾向を捉えることができます。
一方で、一人ひとりのユーザ行動まで掘り下げて見ることは、その数字の背景にあるユーザの状況を具体的に想像することを可能にします。
この両方を組み合わせることで、「なんとなくこうしたほうがよさそう」という経験と勘頼りの改善施策を、「こういうユーザの状況があるから、この改善が必要」という「仮説」ベースのものに変えていくことができます。
ユーザ起点にすると、改善の打ち手はどう変わるのか?
ユーザの行動から、その背景にある状況やニーズを捉えられるようになると、改善活動の起点そのものが変わります。
「この数字を改善するには、何を変えればいいか」ではなく、「ユーザはどのような状況にいて、何をしようとしているのか」から考えるようになるのです。
これが「ユーザ起点」の改善です。
例えば、ある商品の申込数を増やしたい場合、企業側の目的から考えると、「商品の魅力をもっと訴求しよう」「申込ボタンを目立たせよう」「キャンペーンを打とう」といった施策が先に出てきます。
一方、ユーザ起点で考えるなら、まず、
●申込を検討しているユーザは、どんな情報を必要としているのか?
●どこで迷っているのか?
●申込に進むためには、何が解消される必要があるのか?
と問い直します。
その結果として、必要な施策を考える。
つまり、施策を起点に考えるのではなく、ユーザを理解したうえで施策を選ぶという順番に変わります。
この変化によって実現できる改善活動には、大きく2つのメリットがあります。
1. 改善施策の根拠を持てる
「この施策をやったほうがよい」という提案ではなく、「このようなユーザ行動が確認され、その背景にはこうした状況があると考えられる。だから、この改善が必要」と説明できるようになります。
これは、改善の優先順位を決めたり、営業や店舗など他部門に協力を求めたりする際にも重要です。担当者の経験や声の大きさではなく、ユーザに起きている事実を共通の議論の土台にできるからです。
2. 施策の成功・失敗から、次の改善につながる知見を得られる
施策を実施した後も、「数字が上がったか、下がったか」だけを見るのではありません。
●想定していたユーザの行動は起きたのか
●仮説は合っていたのか
●ユーザのつまずきは解消されたのか
という観点から結果を振り返ります。
すると、一つひとつの施策が単発の成功・失敗ではなく、次の改善の精度を高めるための学びになります。
もちろん、ユーザ行動に基づいて立てた仮説が必ず正しいとは限りません。だからこそ、仮説を立て、施策を実施し、ユーザの行動を見て検証することが重要です。
ユーザ起点とは、ユーザのために良さそうな施策を考えることではありません。ユーザを理解し、その理解をもとに仮説を立て、検証しながら改善するサイクルを回していくことです。
このサイクルを継続的に回すことで、改善活動は「施策を打つ活動」から、「ユーザ理解を深めながら成果を積み上げる活動」へと変わっていきます。
ユーザ起点の改善を、どう継続的な成果につなげるのか?
ユーザ起点で改善を考えられるようになっても、一度の分析や施策だけで継続的な成果が生まれるわけではありません。
重要なのは、ユーザ理解から改善、検証までのサイクルを継続的に回すことです。
例えば、1〜3か月程度のサイクルで、
1.改善テーマを決める
2.ユーザ行動を分析する
3.行動の背景にある状況やペインについて仮説を立てる
4.仮説に基づいて改善施策を考える
5.実装する
6.ユーザの行動が意図したとおりに変化したかを確認する
7.結果を踏まえて、次の改善テーマを考える
という流れを繰り返します。
このとき大切なのが、サイクルの各段階で「ユーザ視点ではどうなのか?」と問い直すことです。
改善案を考えていると、「この商品をもっと訴求したい」「このページを見てほしい」といった企業側の目的が、いつの間にか施策の目的になってしまいがちです。
そこで、「ユーザにとっては、それが必要なのか」「ユーザはなぜその行動を取るのか」と問い直す。こうした検討を繰り返すことで、チームの改善プロセスが、特定の担当者の経験やセンスに基づいたものから、ユーザ起点の改善になっていきます。
そして、改善の成果があがれば、施策の優先順位付けや他部門への説明にも根拠を持てるようになります。改善の議論に参加する人の間でも、同じユーザ行動という事実を見ながら話せるようになるのです。
その積み重ねが、担当者個人の「勘と経験」に依存する改善活動を、組織として継続的に成果を生み出せる改善活動へと変えていくのです。
まとめ:サイト改善・アプリ改善やマーケPDCAを、成果につながる活動へ変えるために
サイト改善、アプリ改善、マーケティングPDCAなど、企業では日々さまざまな改善活動が行われています。
しかし、施策を打ち、数字を確認し、また次の施策を考えるだけでは、次第に「何が顧客に響いているのか分からない」「改善しているはずなのに、成果に手応えがない」という状態に陥ることがあります。
その背景にあるのが、改善活動が「施策起点」になっていることです。
「この数字を改善するには、何を変えればいいか」ではなく、
●ユーザはどのような状況にいるのか
●なぜ、その行動をしているのか
●そこにどのようなつまずきやニーズがあるのか
●そのユーザにとって、何がよりよい体験につながるのか
という問いから改善を考える。そして、ユーザ行動から立てた仮説をもとに施策を実施し、その結果、ユーザの行動がどう変わったのかまで確認する。
このサイクルを繰り返すことで、改善活動は「施策を打ち続ける活動」から、ユーザ理解を深めながら成果を積み上げる活動へと変わっていきます。
重要なのは、ユーザ起点の考え方を一度の分析や個人のスキルで終わらせないことです。分析、仮説立案、施策検討、実装、効果検証という一連のプロセスを組織の中で継続的に回せる状態をつくることが、持続的な成果につながります。
ビービットでは、ユーザ行動データを活用した分析から、改善仮説の立案、施策検討、実装後の効果検証まで、継続的なUXグロース活動を支援しています。
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