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成功事例から学ぶ今やるべきWeb接客とは?

2022.01.17 Mon.

成功事例から学ぶ今やるべきWeb接客とは?

従来のECサイトでは、訪問したユーザに一律で同じ表示を出すことしかできませんでした。現在はITツールの発達により、ユーザごとに合わせた最適なコミュニケーションが可能です。
今回は、ユーザの行動に合わせた情報を提示したり悩みを解決したりして、よりよい体験を作り出してCV(コンバージョン/成果)率向上へと繋げられる「Web接客ツール」について解説します。

Webサイト上での接客・コミュニケーションの取り方

Web接客ツールの導入を考えてはいるものの、具体的にどんなことができるのか、どんなメリットがあるのか明確にわかっていない方もいるのではないでしょうか。まずは、Web接客の概要をご説明します。

Web接客とは?概要とそのメリット

Web接客は、Web上でも実際の店舗と同じような顧客対応をする試みです。
たとえば、実店舗にて販売員の方々は、顧客がどのコーナーで何を手にとっているかといった「一連の行動を観察」することで、何を探しているのか、何に興味を持っているかなどを推察しながら、最適な提案をしています。

これまでは、一人一人に合わせた接客は店舗独自の強みとして考えられてきましたが、Web上でも接客ツールを用いることで、ユーザの求める提案が可能になってきています。

ユーザの行動を分析し、最適な提案をすることで、より良い顧客体験をつくりだせるのは、Web接客ツールの大きなメリットといえるでしょう。
より良い顧客の体験が、離脱率の低下や購買率の向上へもつながっていくのです。

代表的なWeb接客ツールと種類

Web接客ツールは大きく分けて、ポップアップ型とチャット型があります。

Web接客ツール ポップアップ型とチャット型の特徴

ポップアップ型は、ユーザへタイミングよく広告やクーポンを提示する方法です。
たとえば、特定ページを80%以上スクロールしたユーザには「今だけ○%OFF!」のようなバナーを提示することで購入を後押しできます。
初回訪問のユーザに限定することや、ブラウザの戻るボタンを押す、画面の外にカーソルが外れるなどユーザの行動に合わせて最適な情報を提示できます。
内容も、期間限定クーポンや類似商品の紹介など、ユーザを誘導したい方向や狙う効果によって変えられます。

チャット型は、チャットウィンドウを表示させることで、ユーザの疑問点や不安にすぐに答えられるようにするものです。
問い合わせフォームからメールを送るより手間が少なく、すぐに回答を得られるため、ユーザが気軽に不安や不明なところを解消できるのが利点です。
チャット型には、オペレーターが対応するタイプと、無人でチャットボットが自動応答するタイプ、そしてオペレーターの対応と自動応答を組み合わせたタイプが存在します。オペレーター式は、まさに実際の店舗と同じような丁寧な対応が可能です。一方、自動で応答するチャットボットは、24時間スピーディーに顧客の疑問に答えられる強みがあります。

Web接客ツール導入にシナリオは不可欠

Web接客ツールは、購買率の上昇や離脱率の低下にとても有効ではありますが、やみくもに導入しても思うような効果は得られません。

Web接客ツールの導入時には、「誰に」「いつ」「どこで」「何を見て」「どうなってほしい」のかを、よく考えてアプローチする必要があります。
このように「ユーザの状況を想定しながら、どのように情報を配信するのか設計する」ことをシナリオといいます。

シナリオは最初の想定のまま固定するのではなく、実際のユーザの動きを観察・比較しながら、あるべきUXを目指して改善を続けることが重要です。



Web接客の成果を最大化させるには?

ここでは、Web接客の効果を最大限に引き出すコツを解説します。

「属性」ではなく「状況」にマッチしたコミュニケーション設計

ユーザのニーズに合ったWeb接客を設計・実装するには、ユーザを、性別や年齢といった「属性」ではなく、どんな状況にあるのか?どんな課題を抱えているのか?といった「状況」で捉えることが重要です。

たとえば、離脱した商品ページだけを見て「ならば違う商品をおすすめしよう」と広告を提示しても、ユーザが離脱に至る前後の感情を把握していないので、多くの場合ユーザの心を動かすことはできません。しかし、その前後で料金やFAQのページを見ていることがわかれば、なんらかの不安があって購入を迷っていることがわかるので、それを解決する提示をすれば購入の後押しができます。

シーケンス分析から得た情報でシナリオを練り直す

いくら自分たちでシナリオを練って設定しても、実際のユーザの行動やニーズと噛み合っていなければ意味がありません。
ユーザの置かれている状況を観察し、日々シナリオを練り直すことが重要です。

ユーザが実際にサービスを利用している際に生じる行動の順番や閲覧時間を考慮に入れ、彼/彼女らの置かれている状況や利用している文脈に注目するやり方を「シーケンス分析」と呼びます。

シーケンス分析でユーザの状況を把握する

シーケンス分析を実践すると、例えばウェブサイトであれば
「じっくり読むと思われていたページがあっさり読み飛ばされていた」
「問い合わせページと遷移前のページを何度も往復している」
といったユーザの行動が可視化され、それらの行動に疑問が湧いてきます。

ユーザは往々にして、私たちの予想していない行動をとっているものです。
それらの予想外の行動を観察し、シナリオに落とし込むことでユーザによりよい体験を提供することが可能になります。

ユーザの悩み・迷いに合わせてコンテンツを提供する

シーケンス分析で個別のユーザ・特定のグループに分けて、行動を観察することで、これまで見えていなかったユーザの悩みが浮き彫りになってきます。
そのような悩みを持つユーザには、個別に対応することで、「自分のことを分かってくれている」と思われ、CVに繋がりやすくなります。

例えば、検索広告。
サイトに流入してくる検索キーワードが異なれば、ユーザが抱えている悩みごとの種類や濃淡(悩みの重さ)は異なってくるでしょう。
この場合、特定のキーワードで流入してきたユーザには、これまで一律に出してきたLPではなく、キーワードにあったコンテンツを提供することが重要そうだと考えられます。

他には、ECで何度も商品をカゴに入れては離脱するユーザが複数存在する場合、購入手順が複雑で諦めてしまっているかもしれません。こういったユーザには、画像やテキストでちゃんと手順を明記してあげる、そもそもの手順を簡略化できないか調整するといった施策が思い浮かびます。

このようにWeb接客を行う際は、ページに訪れたユーザがどういった状態にあるのかを想像し、その状態にあったコンテンツを提供することが大事です。

シーケンス分析についてもっと知りたい方はぜひこちらをご覧ください。
アフターデジタルとビービット(3) – 事例で読み解く「UX企画力を高めるシーケンス分析」



Web接客の分析・改善でCVRが向上した成功事例

ユーザの状況やサービスを利用している文脈を観察し、困りごとを解決する意識で取り組むことがWeb接客で重要になります。
ここからは、ユーザの行動を観察して正しく分析することでシナリオを見直し、実際にCVRアップに成功した事例をご紹介します。

ECサイトで特集を見ていたのは誰?

あるオーディオメーカーさまでは、実際に顧客からの話を聞いた接客スタッフとECサイト運営スタッフから「大型スピーカーに対する要望が多いのでは」という意見が出ていました。この肌感をもとに、大型スピーカーのトライアル機を用意。製品愛の強い社員の体験レビューとともに、告知ページを自社サイトのトップページへ掲載してみました。

リリース後、ユーザの行動を観察すると、ほかのページはあまり見ずにトライアルのページだけ4分ほどじっと見て「お試し視聴」にCVしたユーザを発見。担当者は、ユーザのニーズと合致していると確信しましたが実際には、PVはなかなか伸びず、「表示位置をトップページから変更するか?消すか?」という意見も出ていました。

しかし、担当者は根強く、このページを見てCVする人がいることを伝えて社内を説得し、ユーザの行動に合わせて訴求を調整しつつトップページに告知を配置し続けました。すると徐々にユーザにとって役立つコンテンツだと認識されるようになったのか、「スピーカー お試し」などの検索ワード、検索時の表示順位が2番目に表示されるようになりました。PVもグングン上がり、リリース当初の12倍増という結果を叩き出しました。

現場スタッフの肌感から取り組んだ新企画でしたが、ユーザの行動を観察することでニーズと合致していると確信でき、成功へと繋がったケースです。

詳細が気になる方はぜひこちらをご覧ください。
新コンテンツ企画で検索順位2位・PV12倍! 担当者が行った分析とアクションとは?

メルマガがWeb接客の起点に!

ある雑貨店では、会員登録をしなくても購入ができる仕組みでECサイトの運営を行っていました。しかし、顧客マネジメントの観点から考えると、できれば会員になってもらいたいと思い、登録数を増やすべく、購入者にメルマガを送っていました。

購入フローの中でも、会員登録をうながすことはすでに行なっていましたが、反応は思わしくありませんでした。また、「会員登録をせずに購入したユーザ」に対して、会員登録をうながすメールも送っていましたが、結果は鳴かず飛ばずの状態でした。

より効果的な施策を求め、「会員登録をせずに購入していたのに会員登録をしたユーザ」の行動観察を実施しました。すると、店舗のメンバーが運営しているブログの、店頭イベントのお知らせページを閲覧したユーザが、会員登録をよくしていることがわかりました。そのページを確認したところ、「会員にはイベントのお知らせをメールする」という記載を発見しました。

このことから担当者は、「店舗のイベント案内ページを見たユーザには、イベント情報のメール送付が有効な訴求である」と分析しました。そこで、これまで会員ではないユーザ全員に送っていたメルマガを、イベント案内のページを閲覧したユーザだけに絞って送付するようにしました。さらに、店舗のイベント情報も織り交ぜながら、今後のイベント情報も案内できることを伝えることで、CVRの上昇に成功しました。

詳細が気になる方はぜひこちらをご覧ください。
勘で作る訴求から、根拠ある訴求へ



シーケンス分析でWeb接客の効果を最大限に

Web接客ツールはただ導入するだけでなく、日々ユーザの置かれている状況を観察して、各場面で最適な情報を提示することで、より効果的に運用できます。
ビービットでは、Web接客の成果を効果的に上げられるシーケンス分析を手軽に行えるツール、USERGRAMを提供しています。

Web接客ツールを導入したものの、
「ユーザにちゃんと見てもらえているのか」
「CVに繋がっているのかわからない」
「そもそもユーザのニーズに合った接客になっているのか不安」
といった悩みをUSERGRAMは解決し、Web接客ツールの効果を最大限に引き出すことができます。

ユーザの行動やニーズへの理解を深められる

効果を定量的に比較・分析して傾向を把握するWeb接客ツールに対して、USERGRAMは定性的に検証して具体的な改善点を推察できます。

Web接客ツールだけだと、ポップアップのクリック率が高くてもその後のCVRが上がらないとき、そのデータだけでは、どうして思うような成果が出ないのかの原因や具体的な改善策を練ることは難しいのではないでしょうか。

Web接客ツールとUSERGRAMを組み合わせて分析する

USERGRAMを併用すれば、ポップアップをクリックしたものの、すぐにほかのページへ離脱していることなど、ユーザの行動がわかります。
そこからタイミングや内容がユーザのニーズとずれていたのではないかといった、改善するべき点の分析が可能です。
USERGRAMは、ユーザの行動を可視化することで、ユーザへの理解をより深められるのです。

成果に繋がる改善点をスピーディーに考えられる

USERGRAMはユーザの行動や流れを直感的に把握でき、専門的な知識がなくても問題点や解決策の分析が可能です。

顧客一人ひとりの行動を観察し、発見した特徴的な行動をどのくらいのユーザが行っているのかを定量的に検証できるので、想定していたシナリオと実際のユーザの行動にどのようなギャップがあるかを簡単に比較できます。
顧客の状況を可視化し、想定していたシナリオと比べることで、Webサイトのどこに課題を抱えているか、ユーザの行動をもとに判断していくことができます。
ECサイトのほかに実店舗もある場合でも、オンライン、オフラインを横断した計測が可能です。

行動データの活用の仕方にお悩みの方はぜひ気軽にご相談ください

USERGRAMについてお知りになりたい方や、行動データが自社の課題解決に役立つか気になる方は、ぜひ気軽に弊社までお問い合わせください。

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