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ペルソナ、本来の使い方 ~よくある誤解を解きほぐし、UX向上に活かす

2022.08.05 Fri.

ペルソナ、本来の使い方 ~よくある誤解を解きほぐし、UX向上に活かす

ペルソナとは?

ペルソナとは一般的に「製品やサービスを売りたいターゲットユーザの特徴を、特定の個人を紹介するような形として整理したもの」と紹介されます。

しかし、マーケティング手法に限らないことですが、キャッチーな手法は伝播されていくうちに誤解もまた膨らんでいくものです。
マーケティングにおける「ペルソナ」も誤解が多い手法のひとつです。

たとえば、2022年8月現在、「ペルソナを用いた日本企業での成功例はなんでしょうか?」という質問を投げかけたとき、もっとも多い答えは「スープストックトーキョーの『秋野つゆ』の事例でしょ?」という返答だと思われます。

というのも、いま、検索エンジンに「ペルソナ 成功例」と打ち込むと、真っ先にかつ大量に紹介されているのが「秋野つゆ」の事例だからです。
しかし、「秋野つゆ」はペルソナではないのです。
創業者の遠山氏自身が書籍『成功することを決めた』にて"Soup Stock Tokyoを、「秋野つゆ」という人物(フィクション)に置き換えて考えてみました。" ※1 と述べていることからもわかるように、「秋野つゆ」はサービスのユーザーでもターゲットユーザーでもなく、ブランディングのための「企業の擬人化」なのです。※2

このように、ペルソナについては誤解が生まれやすい土壌があります。

そもそも、普及しているペルソナの手法は、ゴールダイレクテッドデザインというフレームワークにおける「モデリング」プロセスの1ステップとして取り上げられた手法をもとにしています。
ゴールダイレクテッドデザインは書籍『About face 3』※3 にてアラン・クーパーによってユーザーのゴールに着目する手法として紹介されました。
本来、「インタラクティブなシステム(デジタル製品)が有効に機能するためには製品を使う人々それぞれのゴール(目的、目標)が達成されやすいようなデザインが必要である」との考えから生み出された枠組みです。
現在では、インタラクティブなシステムにとどまらず施策決定や方針立案などの幅広い場面でその手法が援用されています。

しかし、こうした背景はなおざりにされやすく、誤解のもとに有効活用ができないままになってしまう場面を多々見かけてきました。

この記事では、ペルソナとはなにか明らかにするために、よくある誤解を解きほぐし、背景にある考え方に触れ、その本来の作成手順についてまで解説します。

ペルソナはどう役立つのか ~メリットとデメリット

誤解について触れる前に、そもそもなぜペルソナがマーケティングにおいて人気を博しているのかをそのメリットから考えてみましょう。

ペルソナのメリット

ペルソナはサービス・製品のUX向上に効果的です

一般的にペルソナのメリットと挙示されるのは下記の3つです。

 ・ユーザーごとに達成したいゴール(システムを利用して達成したい目標)がわかる
 ・製品/サービス/施策の方向性を決めることができる
 ・チーム内での認識のズレを防げる

このように、適切に作成され、適切に運用されたペルソナは企業のビジネスを強く後押ししてくれる強力なツールとなります。
しかし、ペルソナが適切に作成/運用されていることは、残念なことに稀と言ってよいでしょう。
そして、その適切さへの配慮が欠けたままにペルソナの作成に着手することにはデメリットもあるのです。

ペルソナのデメリット

ペルソナは誰でもすぐに使えて、かならず成果が出る道具というわけではありません。
UXの専門家として知られるドン・ノーマンも、2019年の記事「HCD harmful? A Clarification」において、ペルソナを無作為に作成すること(個々人に注目しすぎたり、放置したままにすること)によるリソース浪費の弊害を指摘しています。

ペルソナの誤解

ペルソナについて、よくある誤解を3つ挙げます。

誤解 1. ペルソナと市場セグメントを混同してしまう

市場セグメントからペルソナ作成のための調査を実施するケースも多く、両者は無関係ではないですが、別物です。

市場セグメントが人口統計学的変数・流通チャネル・購買行動を基礎としているのに対し、
ペルソナはユーザーの利用行動やモチベーションを基礎にしています。
そもそも、ペルソナはゴールダイレクテッドデザインというフレームワークにおける「モデリング」プロセスの1ステップとして取り上げられた手法をもとにしています。

この枠組みにおいて、ペルソナはあくまでも「デザインにおいて解決しなければならないユーザーの課題」であり、デザイン上で誰のゴールを達成しやすくするかの優先度付のために用いられるものです。
ひとつのペルソナの課題が複数のターゲットセグメントに該当することも多く、その際にどのような判断を行うかには一般的なマーケティングの考え方を組み込むことが一般的です。

誤解 2. ペルソナを「想像の産物」だと思ってしまう

ゴールダイレクテッドデザインの枠組みにおいて、ペルソナは調査によって得たデータをもとにして作成することが必要不可欠です。
製品として狙いたい市場セグメントのユーザー層があるのならば、該当するユーザーにインタビューや製品の利用テストを行い、その振る舞いパターンを把握しなければ、その市場セグメントと重なり合うユーザーたちのペルソナを作成することはできないと言ってよいでしょう。

誤解 3. ペルソナと実ユーザーを同一視してしまう

ペルソナはアーキタイプ(原型)である、とクーパーは言います。※4
このアーキタイプという語が指す意味は、ペルソナは実ユーザではなく、ステレオタイプとでもない、ということの強調です。
ペルソナは調査で観察したユーザたちをモチベーションと行動によってグループ化したのち、グループ内の各ユーザから購買行動に影響する特徴的な要素をなるべく矛盾なく組み合わせた合成的な人物像です。

ペルソナで重要なのはユーザのゴール ~ゴールダイレクテッドデザインとの関わり

デザイン手法について考える際、まず留意したいのはその対象範囲です。

『About face 3』においてクーパーはデザインを下記のように定義します。 ※5

  • ユーザーの好み、ニーズ、モチベーション、コンテキストを理解すること。
  • ビジネス、技術、ドメイン(対象分野)の可能性、必要条件、制約を理解すること。
  • 以上の知識を基礎として、形態、内容、振る舞いが役に立ち、使いやすく、魅力的でありながら、技術的経済的にも実現可能性のある製品を作るための計画を立てること。

すなわちペルソナはユーザーの好み、ニーズ、モチベーション、コンテキストの理解を助け、形態、内容、振る舞いが役に立ち、使いやすく、魅力的な製品を作るための計画を検討するための道具だと考えてよいでしょう。
ペルソナとは「そのサービスがどんなユーザー(達)のゴールをどのように満たすのか」を検討するための道具のひとつなのです。
実は、この元来の意図を汲まずにペルソナを適用しようとしてもうまくいかないことが多く、「ペルソナを用いても成果が出ない」という声の多くはゴールダイレクテッドデザイン(もしくは元来のペルソナの作成手法/活用手法)を無視していることに起因していると考えています。

なぜユーザーのゴールに注目すべきなのか。
クーパーはその理由として下記のように記しています。

"人々を行動に駆り立てるのは、ゴールである。ユーザーのゴールが理解できれば、ユーザーの期待や抱負も理解できるし、デザインでもっとも注目すべき行動がどれかもわかってくる。(中略)「ユーザーのゴールは何か」を考えれば、ユーザーの行動の意味がわかる。そうすれば、より適切で満足のいくデザインを作れるようになる。" ※6

この考えは現在においても有効で、インタラクティブなシステムにとどまらず、サービスを成功させるためにはユーザーのゴールへの意識が必要不可欠だと考えています。
ゴールダイレクテッドデザインの進行プロセスはペルソナがどう活用されるかを考えるうえでも参考になるため、次項にて紹介します。

ゴールダイレクテッドデザインの6ステップ

ゴールダイレクテッドデザインは6つのステップを順に踏んでいくフレームワークです。各ステップごとに不足情報があれば前ステップに戻ることもあります。
それぞれのステップは「調査」「モデリング」「要件確定」「フレームワークの設定」「精緻化」「開発支援」と大別されます。

ゴールダイレクテッドデザインの6ステップ
ゴールダイレクテッドデザインの6ステップ

調査

行動観察とインタビューを用いて、製品の潜在ユーザー/実ユーザーの質的データを収集します。
観察とインタビューからの収穫は、一連の振る舞いパターン(潜在/既存製品の使用モードの分類に役立つ、明確に区別される振る舞い)です。
一般的に、toB製品では被験者の職責によって振る舞いパターンが異なり、toC製品では被験者のライフスタイルの選択に対応して振る舞いパターンが異なる傾向があります。
振る舞いパターンはそれぞれのユーザーのゴールと結びついています。
また、ビジネスゴール・ブランド特性・技術的制約の解明のために、市場調査・製品調査・関係者調査も別途行います。この調査の中で、デザイナーはドメイン(対象分野)に対する理解も深めます。※7

具体的に行う作業は下記です。

 ・目標と日程の定義
 ・物的調査
 ・関係者インタビュー
 ・ユーザーインタビューおよび観察

モデリング

調査によって得たデータをどのように整理し、実用に足るものとして加工するか。
モデル化はそのための作業です。

ここでモデル化された仮想のユーザーごとのゴールが適切に達成できるようにすることがゴールダイレクテッドデザインの目標のひとつであり、この仮想のユーザーモデル群のことをペルソナと呼称します。

ペルソナは、調査によって得られた様々な振る舞いパターンを傾向ごとにグループ化し統合した複数のユーザーモデルです。
すなわち、調査に基づいていない妄想の"ペルソナ"やひとりだけの"ペルソナ"は、もはやゴールダイレクテッドデザインで扱っているペルソナではないとすら言えます。
ゴールダイレクテッドデザインが広く知られるようになったのはこのペルソナ手法が耳目を引き、かつ成果にもつながりやすかったためと言えましょう。

要件確定

前の2ステップ(調査、モデリング)の結果をもとにコンテキストシナリオ(ユーザーがどのような状況でサービスを利用するかを整理するための、理想的な利用パターンを経時的にストーリー化したもの)と要件仕様を決定するステップです。
調査から作成したモデル(ペルソナおよび使用コンテキスト)から、ユーザー・ビジネス・技術要件を確定させます。
ペルソナは、要件確定以後のすべてのステップで威力を発揮します。というのも、関係部署が増えるなかで要件が無造作に足されたり引かれたりすることを防ぐのが「このサービスはこのペルソナたちのためのものである」という明確な定義だからです。

フレームワーク設定

要素を整理し、フレームワークを描き、キーパス(ユーザーインタラクションを反復的に記述した、デザインを具体化するためのシナリオ)とチェックシナリオ(作成したデザインを検証するための質問リスト)を設定します。

デザインの精緻化

ここまでのプロセスによって整理されたデータやアウトプットはその後の開発にも必ず活かすべきです。
そうでなければ次第にそのサービスはキメラ化し元来満たすべきだった要件を逸脱していくなかでその価値を損なっていくでしょう。
積極的な他部署連携を行うことが企業組織に求められています。

ペルソナの基本的な作成手法

ペルソナの作り方をステップ形式でご紹介します。

ペルソナの基本的な作成手法
ペルソナの基本的な作成手法

0.定性調査を行う

ペルソナの前提としてインタビューなどの定性調査によるユーザーの振る舞いパターンのデータ収集が必要です。

とはいえ、調査のための事前準備期間を十分に設けられない場合も多々発生します。そうした場面で用いられることが近年増えているのが簡易ペルソナです。
簡易ペルソナとは、インプットの比重を軽くしつつ、後述する「主役ペルソナ」のみを暫定的に設定したものです。目標を明確にし、チーム間の合意形成のために有効であるため多用されます。
とはいえ、簡易ペルソナについてもまったくの想像で作成するのではなく、最低限の根拠をもとに作成するべきです。
くわえて、前提として簡易ペルソナは「仮説」であり、そのプロダクト/サービスにおけるユーザーの調査とユーザー像のクイックなアップデートがその後必要となることにはあらためて留意したほうがよいでしょう。

1.行動変数を見極める

調査によって得たデータをもとに、観察された行動の様々な側面を行動変数にまとめていく。
行動変数とは、ユーザの行動パターンの差異を決定づける下記の要素を指します。

 ・活動:ユーザーが何を/どんな頻度で/どの程度しているか。
 ・態度:製品/サービスのドメインやテクノロジーに対するユーザの態度。
 ・適正:ユーザの受けた教育訓練および学習能力。
 ・モチベーション:ユーザーがその製品・サービスに関わっている理由、達成したい目的(ゴール)。
 ・技能:製品/サービスドメインとテクノロジーにかかわるユーザの能力

これらの行動変数は、ペルソナを作成するうえでユーザーの属性情報よりも重要です。
ユーザーのゴールや振る舞いパターンは、居住地や年齢よりも上記の変数におおきく左右されることがほとんどだからです。

2.インタビューの被験者を行動変数に対応づける

被験者相互の相対的な位置を見極めて、先述の変数にインタビューの被験者を対応付けていきましょう。

3.顕著な行動パターンのグループを見出す

複数の範囲(変数)に被験者を位置づけた後、被験者が集中している箇所を探しましょう。
ペルソナの基礎となる顕著な行動パターンは、6~8の異なる変数を通じて同じ被験者の集合によって見出されることが多いです。この行動パターンは通常、1~3種類ほど見つけられることが多いです。
なお、行動パターンとは、単なる相関関係の見かけだけでではなく、そこに論理的な関係もしくは因果関係が認められるものを指します。

4.特徴を抽出し、特徴と関係のあるゴールを総合する

見つけたパターンごとに、ディティールを集めて全体像を明らかにしていきましょう。
ディティールとなるのは、潜在的な利用環境、典型的な作業日、現在のソリューションとそれに対する不満、周囲の人々との関係などです。
観察した行動から逸脱せずに、そのペルソナの個性を鋭く指摘する説明ができないか、考えてみましょう。

5.重複や完成度をチェックする

ここまで作成したペルソナ群(ペルソナセット)が、被験者と対応付けできているか、調査結果と大きなギャップがないか確認しましょう。このタイミングで、他部署や依頼者といったステークホルダーが事前に重視していた前提条件を満たすようなペルソナセットになっているかも確認しましょう。
また、それぞれのペルソナが少なくとも1つの振る舞いにおいて他のどのペルソナとも異なっていなければ、重複するペルソナを削除するかそれぞれの特徴をより際立たせてください。なるべくシャープにペルソナを絞り込むことで、デザインのターゲットをコンパクトにでき、デザインの作業を減らすことができます。

6.態度や振る舞いの記述を拡張する

ステップ4でまとめた特徴(個性)・ゴールは複雑な行動のエッセンスを抽出したものですが、他のメンバーによりその詳細が伝わるようにする必要があります。
そのためには、このステップではペルソナの記述を3人称の物語として整形・補足することが有効です。

7.ペルソナごとに優先度をつけ役割を振る

ペルソナを6つの役割に分けることでデザインの優先度が判断しやすくなります。
主役ペルソナ・脇役ペルソナ・端役ペルソナ・顧客ペルソナ・サービス利用者ペルソナ・黒衣ペルソナです。※8


主役ペルソナ
主役ペルソナはインターフェース設計の主要なターゲットを表します。
主役ペルソナはひとつのインターフェースにつき1つに絞るのが常道です。なので、複数のインターフェースがある製品の場合は複数の主役ペルソナが設定される場合もあるでしょう。
主役ペルソナは、他のペルソナ向けのデザイン(インターフェース)では満足しないものです。
主役ペルソナ向けに作成したデザインを優先し、そのうえでできるかぎり他のペルソナを満足させる方法を考えていくようにしましょう。
主役ペルソナの選択にあたっては、それぞれのペルソナが達成したいゴールを比較して消去法で選んでいくやり方が推奨されます。


脇役ペルソナ
脇役ペルソナは、主役ペルソナ向けのインターフェースで満足させられるものの、特殊なニーズを余分に持っており、主役ペルソナのためのデザインを進めた後にそのニーズを満たす必要があるペルソナです。
脇役ペルソナが3つ以上ある場合は、製品・サービスの守備範囲が広すぎたり焦点が絞りきれていない兆候だと考えるべきです。


端役ペルソナ
主役でも脇役でもないペルソナを端役ペルソナと呼びます。端役ペルソナのニーズは主役ペルソナのためにつくったソリューションで満足する事がほとんどです。部署内や依頼者との調整のために(ステークホルダーの前提条件を満たすために)設定せざるをえないペルソナは端役ペルソナになることが多いです。


顧客ペルソナ
顧客ペルソナは、エンドユーザではなく顧客のニーズを表します。一般的に脇役ペルソナとして配置されますが、toB製品など管理者用UIが重要な場合、この顧客ペルソナが主役ペルソナとなります。


サービス利用者ペルソナ
製品のユーザーではないが、製品の利用によって直接的な影響を受ける人間のことをサービス利用者ペルソナとして設計します。医療機器における患者などが該当します。
サービス利用者ペルソナを設定することで、サービスや製品の副次的な社会的物理的影響を見落としにくくなるメリットがあります。


黒衣ペルソナ
黒衣ペルソナは「こういう人は製品・サービスの対象ではないよね」と開発チームやステークホルダーに示すために作成されるペルソナです。
このペルソナによって、サービスや製品に不要な機能や目指すべき方向性が明確になり、折衝やその後の方針決定が円滑に進みやすくなるメリットがあります。

まとめ ~ペルソナは有効活用してこそ価値が出る

ここまでの話をまとめます。

  • ペルソナ、ターゲットユーザー、実ユーザー、ブランドパーソナリティは混同すべきでない。
  • ペルソナは調査で得られたユーザーの振る舞いパターンに基づいて複数作成するもの。
  • ペルソナはゴールダイレクテッドデザインの枠組みのなかの1ステップであり、そのユーザーのゴールの検討までがセット。
  • ゴールダイレクテッドデザインはインタラクティブデザインの設計手法であり、いまだ有効な枠組み。
  • 「ユーザーのゴールはなにか」を考えることが設計のうえで重要であり、ペルソナはその助けとなる。
  • ペルソナは有効活用しなければ意味がない。

ペルソナは目的ではなく手段です。
作って終わり、ではなく、作成したペルソナをもとにユーザーのゴールを意識したサービスデザインを行わないことにはただの無意味な文書と化します。
クーパーは、設計チームの個々のメンバーが描く勝手なユーザー像に振り回されず「明確なゴールを持つ特定のユーザー」のためのデザインを可能にするツールのひとつとしてペルソナを考案しました。
ペルソナさえあればプロジェクトが成功する、という訳では決してありません。
ペルソナの作成が無駄な作業にならないようにするためにも、
事前に「なんのためにペルソナが必要なのか」「ペルソナを作って、それからどうするのか」といった根本的な目的の検討と活用のための準備を欠かさないようにしましょう。必要に応じて、ゴールダイレクテッドデザインの枠組みを援用することも有効です。

ユーザーのゴールを見据えた支援を提供するUXデザインコンサルティング

ユーザーは誰か。
それぞれのゴールはなにか。
それぞれのゴールに適したデザインがなされているか。

ゴールダイレクテッドデザインのコアはこの問いかけです。

時に、ゴールダイレクテッドデザインはユーザーセンタードデザイン(UCD)の一種としてくくられることがあります。
UCDとは設計思想のひとつであり、
ラリー・コンスタンチンの利用中心設計(Usage Cetered Design) も、
カレン・ホルツブラットのコンテクスチュアルデザイン も 、
ヤコブ・ニールセンのディスカウントユーザービリティも、
いずれもUCD思想から派生した個別の方法論とみなせます。

UCDの普及を日本で推進している団体として 人間中心設計推進機構(HCD-Net)UXインテリジェンス協会 があります。

弊社は、ユーザーの体験(UX)に注目したサービスデザインの支援として、生活者のおかれた状況の理解から開始し、自由・豊かさの実感が自然になされるアーキテクチャづくりを推進するコンサルティングサービスを長年提供してきました。

ペルソナの活用をはじめ、サービスの適切な設計にお悩みの方は、ぜひUXデザインコンサルティングをご検討ください。

まずは気軽にお声掛けくださいませ。

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【訳注および引用】
※1 『成功することを決めた―商社マンがスープで広げた共感ビジネス 』著:遠山正道,新潮文庫,2011. P.70より引用。
※2 「秋野つゆ」はブランドパーソナリティの一種と捉えるほうが適切でしょう。ブランドパーソナリティとはデービッド・アーカーが提唱するブランディング手法のひとつで "そのブランドから連想される人間的な特徴の組み合わせである" と書籍『ブランド論:無形の差別化を作る20の基本原則』著:デイビッド・アーカー,訳:阿久津聡,ダイヤモンド社,2014. で述べられています(P.57から引用)。 ブランドパーソナリティは "製品属性を伝え、エネルギーを供給し、顧客関係を決定し、ブランド構築計画を導き、ブランドに対する顧客の態度や行動を理解するうえで役立つ" ともされています(同 P.70から引用)。 このことから、スープストックトーキョーの購買者に秋野つゆと類似した属性のユーザーが多いことはペルソナ手法による成果ではなく、アーカーがブランドの効力として挙げる情緒的便益と自己表現便益への顧客の共感のあらわれとして見るべきでしょう。
※3 『About face 3――インタラクションデザインの極意』 著:アラン・クーパー,ロバート・レイマン,デビッド・クローニン,訳:長尾高弘,アスキー・メディアワークス,2008年.(引用時(1)と略)
※4 (1) P.102より引用。
※5 (1) P.29より引用。
※6 (1) P.39より引用。強調箇所、中略は記事執筆者による。
※7 (1) P.44を参照。
※8 (1) P.121-123を参照。