あるECサイトでは、商品発送お知らせメールに「サイト利用に関するアンケート」を付けていることもあり、お客様からサイトへの意見・要望をもらうことが多くありました。
声をもらえること自体はサイト担当者としても有難いのですが、ユーザサポートチームから「お客様がこう言ってるんだから早くこの機能を実装してほしい」と圧力をかけられることに困っていました。
経営陣からの要望、制作チーム内で企画中の機能など、他の開発案件もあり、エンジニアリソースには限りがある中で、一意見の「お客様の要望」にどの優先度で対応すべきか、サイト担当者は頭を悩ましていました。

「お客様の要望」にそのまま応えることが正しいわけではない
そんな折に、また新たなお客様からの声が届きました。
「商品一覧ページで、サイトへの掲載日で絞り込める機能が欲しい」
という要望でした。
サイト担当者は直感的に、「きっとこの要望にそのまま応えることは正しくない。なぜ、このユーザはこの機能が欲しいと言ってるんだろう。」と考えました。
そこで、先日導入した「USERGRAM」で今回の要望をくれたユーザのサイト上での動きを確認してみることにしました。USERGRAMは、ウェブサイト上の各ユーザの行動を可視化できるツールです。
すると、このユーザは、週に1度程度の頻度で商品一覧ページに流入し、比較的掲載からの期間が短い、「新しい商品」を閲覧していることがわかりました。
ただ、その時に「商品の並び替え」を行っておらず、デフォルトの並び順の「売れ筋順」で商品を閲覧している様子でした。

おそらくそのために新着商品をチェックしづらく、「サイトへの掲載日で絞り込める機能が欲しい」という要望をあげたのではないかと想像しました。
きっとこのお客様のニーズは「新着順に並べ替え」にさえできれば、満たされるはず。課題は、「サイトへの掲載日で絞り込める機能」を作ることではなく、「ユーザが並び替え機能に気がついていない」ことだと思いました。
ボリュームを確認し開発優先度と顧客対応を見極める
そこで担当者は、再度USERGRAMを使い、「サイトの並び替え機能」が使われている率を確認することにしました。確認しているユーザの割合が高いのであれば、UIの変更をする必要性は低いと考えられるためです。
確認した結果、多くのユーザは問題なく「並び替え」を活用できていることがわかりました。そのため、「並び替え機能」をより目立たせるようにするなどのUI変更の優先度は高くないと言えます。
今回のユーザからの要望への対応をサイトで行うことはせず、要望をくださったユーザに「並び替え機能」を伝えていただくよう、ユーザーサポートチームに連携することとしました。
その時、USERGRAMの画面を見せることで、ユーザーサポートチームはすぐに納得もしてくれました。
このように、「顧客の声」の背景となる「ユーザ行動」を観察すると本当に行うべき対応とその優先度を検討することができます。
ユーザから機能要望があった場合は、是非そのユーザの行動をUSERGRAMで確認してみてください。