SOMPOホールディングス株式会社 /
SOMPOケア株式会社
一人ひとりを大切に。ケアに対する想いをベースにSOMPOケアが推進するアプリグロース活動とは?

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「介護の未来を変えていく」というスローガンを掲げるSOMPOケアが提供する「ケアエール」。ケアを受けるご本人とその周囲の人々をコミュニケーションでつなぐアプリです。 これまで介護施設の運営などケアに関わる事業を多方面に展開してきたSOMPOケアですが、ユーザ行動が直接見えないデジタル上でのコミュニケーション促進には難しさを感じていたといいます。そこで、デジタルサービスの成果創出ソリューション「UXグロースOps」を導入し、ビービットと一緒にグロース活動を開始しました。 ケアエール開発の背景や、アプリリリース後のグロース活動の進め方・効果について、分析チームのリーダー竹内奈穂様と、開発チームのリーダー韓承娥様にお話を伺いました。

SOMPOホールディングス株式会社 / SOMPOケア株式会社

  • SOMPOホールディングス株式会社
    シニアマーケット事業部
    スマートコミュニティ室 課長 /
    SOMPOケア株式会社
    スマートコミュニティ事業部
    シニアリーダー
    竹内 奈穂 様
  • SOMPOホールディングス株式会社
    シニアマーケット事業部 課長代理 /
    SOMPOケア株式会社
    スマートコミュニティ事業部 リーダー
    韓 承娥(はん すんあ) 様

株式会社ビービット

  • UXインテリジェンス事業本部
    UXグロース シニアマネージャ 津田 勇樹(左)
    UXグロース コンサルタント 松田 朋子(右)

ケアを受ける大切な人と、その周囲の人々のためのアプリ「ケアエール」

ーはじめに、お二人の役割とケアエール開発の背景を教えてください。

竹内 奈穂様(以下、竹内様):私は、ケアエールを始めとした当社グループが提供するシニア向けサービスについて、ユーザ対応や分析業務のサポートを担当しています。

SOMPOホールディングス株式会社 シニアマーケット事業部 スマートコミュニティ室 課長 /
SOMPOケア株式会社 スマートコミュニティ事業部 シニアリーダー 竹内 奈穂 様

韓 承娥様(以下、韓様):私は、シニアのウェルビーイング向上のための新サービスの開発と運営を担当しています。

ケアエールは、シニアのウェルビーイングを考える中で「ケアの大切さ」に焦点を当てたサービスで、介護だけにとどまらない生涯を通じたケアを、ケアに係る人の負担を軽減しながら実現することを目指しています。ケアが必要になったことを理由にご本人やご家族が自分らしい人生を諦める必要がない社会にしたい、という想いから、ケアエールの企画が生まれたのです。

また、近年ではケアが必要になっても自宅での生活を希望されるケースが増えているのですが、その場合に、ご家族同士でも、サービスを提供する介護福祉事業者側との間でも情報の共有や連携が難しくなることがあります。そこで、日々の気持ちや出来ごとを記録し、関係者間のスムーズなコミュニケーションを実現する場が必要だと感じたことが、ケアエール開発の土台になっています。

―ケアエールの機能について教えてください。

韓様:ケアエールは、「元気にしているかな」と心をかけることも「ケア」と含め、心をかけたい「大切な人」を中心にそのご家族やご友人、関係者がご本人の生活の様子を共有できる場を提供するアプリです。

具体的には、招待された方だけがアクセスできるクローズドな「ルーム」という場を設け、日々の感情や体調を記録できるようにしています。

日々の気持ちを「心の天気マーク」というアイコンで気軽に共有したり、写真や動画を投稿したり、予定を登録したりできるようになっており、ご本人と毎日一緒にいない方もスムーズにコミュニケーションできるようにサポートしています。

人の動きが見えないデジタルサービスの難しさと、それを可視化できることの魅力

ービービットの支援導入を検討するタイミングでは、どのような課題感をお持ちだったのでしょうか。

韓様:私たちのチームはもともと人間中心デザインの重要性を感じていたので、開発段階から多くのユーザインタビューを行っていました。その中で、デジタルではユーザの行動が見えにくいためリアル空間に比べて動線の設計が難しいこと、さらに、期待するユーザの動きと実際の動きにギャップがあって想定通りにいかないことに課題を感じていました。

デザインチームと協力して私たちが思い描くUXをUIに反映できるよう試行錯誤しているときに、利用者の方の実際の動きを視覚的に捉え、そこから改善策を考えるソリューションがあることを知って、導入を検討するようになりました。

SOMPOホールディングス株式会社 シニアマーケット事業部 課長代理 /
SOMPOケア スマートコミュニティ事業部 リーダー 韓 承娥 様

ビービット津田:ビービットが提供するソリューション「UXグロースOps」では、ユーザの行動を一人ずつ可視化できる「USERGRAM」というクラウドサービスのデータをもとに、ユーザのつまずきやすいポイントを捉え、改善案を提案しています。

竹内様:ユーザの気持ちになって考えるのは当たり前だと思っているのですが、どうしても思い込みになってしまうことがありますよね。USERGRAMを通して、実際の行動履歴が見えるというのが魅力的だと感じました。

ビービット津田:USERGRAMで見られるのは一人ひとりのユーザの行動なので、導入初期にはほとんどのクライアントで「ユーザ全体を反映できていないのでは?」というご意見をいただきます。しかしSOMPOケア様の場合は、最初から「一人ひとりの行動が大事」と言っていただけたのが印象的でした。

ービービットとの協業を開始してからは、どのように業務を進めているのでしょうか。

竹内様:アプリをリリースした直後の目標は、アカウント登録者の増加でした。そのため、ビービットさんには最初に、ユーザに継続的にご利用いただけるようにするためのKPI設定と目標設定をお願いしました。

サービスの導入直後は、「こういう行動をしているな」ということを私たちが把握した上で、UXのプロであるビービットさんの分析結果を教えていただくことで、アプリリリース直後の改善スピードを確保することができました。

現在は、私たちだけでも分析から課題の特定まで実施できるように、内製化を進めているところです。

ー内製化はどのようなプロセスで取り組まれているのでしょうか。

竹内様:昨年末まではビービットさんから1ヶ月間隔でレポートを出してもらっていたのですが、今年に入ってからは2ヶ月ごとに1つのテーマを決めて進めています。具体的には、2週間ごとにテーマに応じた宿題を出してもらい、回答に対してフィードバックをいただく、というトレーニングです。

ビービット津田:昨年は事業成長のスピードを優先して、弊社で設定と分析を行い、その結果をベースとした改善案を実装いただいていました。今はスタートダッシュの期間が終わったため、少しペースを落として、内製化の優先度を上げているという状況です。

株式会社ビービット UXインテリジェンス事業本部 UXグロース シニアマネージャ 津田 勇樹

竹内様:改善テーマについては、設定したKPIに加え、USERGRAMでさまざまな項目を見て候補を出していきます。その後、松田さんとデータを見ながらディスカッションして、テーマの優先順位を決めています。

優先順位を決めるのは難しいのですが、ユーザが最もつまずくポイントを時間をかけて分析して方向性を決めています。つまずくユーザの数も重要な指標ですので、注意して見るようにしています。

ーアプリ開発時からグロース活動を意識されていたのでしょうか。

韓様:ケアエールは、リリース後もアップデートを重ねる前提で、最小限の機能でリリースしたという経緯があります。そのため、当時はグロース活動という言葉ではありませんでしたが、継続的に改善を続けるというイメージはありました。

竹内様:アプリをリリースした後、私たちの想定通りに使用している方は定着していく一方、例えば1ヶ月ずっと起動していただけない方もいらっしゃることがわかり、単にユーザ数を増やすだけでは、事業成長に繋がらないと気づきました。

ダウンロードしてくださった方に長い間使っていただけてこそ、ケアエールが愛されていくのだと感じるようになり、その頃からグロースの考え方に自然とシフトしていきました。新規ユーザの獲得だけでなく、既存ユーザのロイヤルティ向上や離脱率低減の大切さに気づけたのです。

高いレベルでサービスを理解しているメンバーが伴走してくれる安心感

ーこれまでの活動で、効果を感じていることを教えてください。

韓様:一番効果があったのは、招待・認証の部分ですね。ケアエールには招待制のクローズドな「ルーム」を作る機能があり、ルームにアクセスするためには招待と認証という手続きが必要なのですが、そこでつまずいているユーザが多いことがUSERGRAMからわかったのです。

具体的には、認証コードが記載されたメールを確認しないまま何度もメール送信ボタンを押すケースが見られました。ケアエールは3歳から89歳までと非常に幅広い世代にご利用いただいていますが、特に高齢者の方にはメール認証という行為が馴染みにくかったのかもしれません。

竹内様:2割近いユーザがサービスの利用開始前に離脱していること、特に認証コードのステップでの離脱が多いというのは驚きでした。

ビービット松田:以前はメールで送られた認証コードをコピーしてアプリに入力する方式だったのですが、これが多くのユーザにとってわかりにくいということで、メールのリンクをクリックすることで認証が完了する方式に変更しました。

竹内様:この変更は非常に効果的でしたね。

他にも、ルームにコメントをたくさん投稿していただきたいのですが、投稿率が低いうえに投稿に時間がかかるユーザが多かったため、忙しい中でも少しでも投稿を増やしてもらえるよう、下書き保存の機能を新たに導入しました。

松田さんからのアドバイスで、利用率が低い機能や使い方に関する情報をメールマガジンでお知らせし、利用率の向上を図るという取り組みも行っており、一定の効果が見られています。アプリ自体の開発・改修だけではないアプローチも、改善活動には不可欠だと学びました。

ビービット松田:チームの皆さんは、実際にケア施設を訪れて、ユーザの方へのインタビューもされています。そうした中で得られる施設からのフィードバックも参考にしながら、サービスの改善を進めています。

株式会社ビービット UXインテリジェンス事業本部 UXグロース コンサルタント 松田 朋子

ービービットの支援について、どのようなところに価値を感じていらっしゃいますか?

竹内様:ビービットさんは韓の次くらいにケアエールのことを把握されているので、非常に安心感があります。単にUSERGRAMのレクチャーをするだけでなく、サービスの深い部分まで理解して私たちを導くように伴走してくださっています。

特に「ユーザ目線になっていますか?」という投げかけは、私たちにとって貴重なフィードバックです。弊社メンバーだけで考えると、どうしてもコストを考慮して優先順位が下がることがありますので、本当に必要な取り組みがどれかを指摘していただけることを、大変ありがたく感じています。

韓様:ユーザの行動はもちろん重要ですが、行動だけに固執しない視点も大切だと思っています。そのバランスを取るために、話し合える存在がいるのはとても心強いですね。

竹内様:韓のような、サービス立ち上げ時の熱い想いを持った企画者の視点はとても大切だと感じています。それがなければ、サービスとして目指すところがブレてしまい、サービス自体が崩れてしまうからです。ただ、ユーザサイドに立とうとする私たち分析チームの視点とぶつかり合うことも、ときどき発生します。そんなときでも、ビービットさんに相談しながら双方の視点を混ぜることで、結果的にサービス向上のアイディアが生まれていっています。

逆に、分析チームからの提案に対して企画チームが反対するような場面もあります。そういうときは、たいてい私たちの説得材料が足りていないのですよね。そんなときも、何が足りないのか、どうすればよい方向に向かっていけるのかをビービットさんに相談できるので、伴走者として非常に価値があると感じています。

ー最後に、ケアエールのこれからについてお聞かせください。

韓様:現在、ケアエールは「地域丸ごとケア」の取り組みを始めています。これまでは家族やサービス事業所だけの限られた関係だったものを、地域全体に拡げようとしています。

また、新しいサービスである「ケアエールPRO」ではBtoBを対象とし、事業所単位のケアをサポートするのと同時に、個々のユーザにも対応したいと考えています。ビービットさんにとっても新たなチャレンジになるのではないかと思いますが、ぜひご一緒したいと思っています。

竹内様:これからケアエールPROの計測がスタートしますが、私たち分析チームだけでは全ての課題を把握できません。津田さんや松田さんからのご指導を、引き続きお願いしたいと思っています。

私たちはこれからも、ミッションである「シニアのウェルビーイング向上に必要なことは何か」という問いに向き合いながら、必要なサービスの提供を追求してまいります。今後もビービットさんと連携しながら、サービスを成長させていきたいと思います。