第38回 住民基本台帳法改正がもたらすマーケティング革命【後編】

DMからウェブを使ったマーケティング活用に移行する際、ユーザニーズに応じた施策を取ることが重要です。

住民基本台帳法改正がもたらすマーケティング革命(前編)では、これまでダイレクトメールに依存してきた企業に対する法改正のインパクトと、その対応策としてのウェブ活用についてご紹介しました。

ウェブをダイレクトメールに代わる新たなマーケティングチャネルとするためには、ユーザニーズの顕在化度合いによって施策のポイントを変える必要があります。

(前編)では「顕在化したニーズが有る場合」について解説しましたので、今回は顕在化したユーザニーズが無い場合を紹介します。

顕在化したニーズが無い場合:クロスメディア対応によるニーズ刺激

従来ダイレクトメールによる刺激でユーザニーズを顕在化させていた企業は、今後、別のメディアを横断的に活用して潜在顧客にニーズの喚起を促していかなくてはなりません。

ダイレクトメールはターゲットとなる潜在顧客に対して、ピンポイントに刺激を与えることができたという強みがありましたが、ダイレクトメールが無い今、まずはこのように細分化されたセグメントが集うメディアが必要になります。

特に求められるのは住民基本台帳同様、年齢×地域×性別で細分化されたメディアです。ウェブに問わず、地域紙や会員報などのメディアも視野に入れ、最適なメディアを選択して、最終的にはウェブサイト、店舗、電話などに誘導するといった流れを検討すると良いでしょう。

この際、自社に最適なメディアが存在する場合としない場合があります。

他社メディアを活用

ターゲットがセグメントされた最適なメディアが既存にある場合には、そのメディアへの広告出稿や提携等の施策が考えられます。裏を返せばこのようなメディアを持っている媒体主企業にとっては、住民基本台帳法改正によってビジネスチャンスが到来しているとも受け取れます。
この関係を成立させるために重要になるのはメディアの効果検証です。意外に効果検証がなされていないメディアが多いため、広告主の想定したようなユーザが訪れているのか、また広告効果があったのかなどの実施に取り組むことが鍵になります。

自社メディアを作る

一方、自社ビジネスに最適化されたメディアが無いこともあります。その場合、自社でメディアを作るという手もあります。
このときに活用できるのがインターネットです。自社メディアが持てるというインターネットの利点を上手く活用することで、今後の生き残りをかけることができます。

例えば、ベネッセの「ウィメンズパーク」はこの観点で非常に上手くできたサイトです。「ウィメンズパーク」は母親向け会員サイトですが、このメディアの中で母親同士が様々なコミュニケーションを取ることで、子育てや教育に関するニーズが顕在化していきベネッセの商品認知・購買へと繋げていくことができます。

もちろんニーズが顕在化したらそれがすぐに自社の売上げに直結するわけではないかもしれません。しかしニーズのないところで商売をすることはできないことに加え、ニーズが顕在化した後の対策も取っておくことで、顧客獲得の可能性を大きく広げることができます。

(参考)
IT先進企業:ベネッセ-ITをフル活用し、経営改革を断行する「2年も前倒しで利益目標を達成」
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