第13回 エンターテイメント【後編】

今回は質の高いエンターテイメントサイト実現への取り組み方をご紹介します。

前回のコラムでは、本物のエンターテイメントサイトは、「芸術性に優れたデザイン」や 「最新の技術」等を採用した上で、高いユーザビリティを実現している必要があることを述べました。

そこで今回は、質の高いエンターテイメントサイトを作成するには、どのようにウェブサイト構築に取り組めば良いのかご紹介します。

困難な構築作業

トップページデザインを例にとって考えてみると、奇抜な「 1. 芸術性に優れたデザイン」と、シンプルな「2. 使いやすいデザイン」とを、同一のトップページで実現することは可能でしょうか?

上記例の2つの要素を同時に実現することは非常に困難です。

しかし、やり方次第では、質の高いエンターテイメントサイトを実現させることは可能です。

サイトコンセプトの明確化

世にある「難しい作業の進め方」に共通しているように、エンターテイメントサイトを作成する際にも、まずは「作業する目的」を明確にする必要があります。

この場合の作業の目的とは、「何のために、どのようなサイトを作るのか」です。これらを明らかにする作業を、私は「サイトコンセプトの明確化」と呼んでいます。

サイトコンセプト明確化では、以下の6つのポイントを考えます。

1.サイトの目的と目標
サイトが目指す目的は何か、何を持ってゴールとするのかを明確化

2.ターゲットユーザ
ターゲットとするユーザはどのような人なのかを明確化

3.ユーザニーズとインセンティブ
ユーザが達成したい目的・課題は何なのか、また、何故それをインターネットを利用して行うのかを明確化

4.ユーザの接続環境
ユーザがどのような接続環境からサイトを使うのかを明確化

5.競合把握
競合サイトに準備されており、見習うべき点はどこなのか、また、競合サイトとの差別化ポイントはどこなのかを明確化

6.シナリオ
ユーザが実際にどのようにサイトを使うのかのシナリオを作成

上記6つのポイントを明示することで、「何の為に、どのようなサイトを作るのか」が明らかになり、作業を進める上での指針となります。

サイトコンセプトに基づく判断

「使いやすさ」を優先させるか、「芸術性に優れたデザイン」や「最新技術」を優先させるべきかなど、迷った際には作業指針に基づいて、適切に判断することができるようになります。

ここで再びトップページのデザインを例にとって、サイトコンセプトによって判断されるべきポイントの一部を挙げてみます。

【 判断されるポイントの一部 (例)】

  • どのような画像を使用すべきなのか?
  • データのサイズはいくつまで許容するのか?
  • フラッシュ等の技術は使用して良いのか?
  • 文章の量はどの程度にすべきなのか?
  • リンクテキストの色は何色にするのか?
  • リンクテキストには下線を引くべきか?

作業指針であるサイトコンセプトに基づき、上記のようなトップページのデザインの各要素で何を優先させるべきなのかを細かく判断していきます。

こうすることによって、一見実現不可能なようにも感じられたトップページデザインをどのように実現すれば良いのかが明らかになります。

本物のエンターテイメントサイトの実現

本物のエンターテイメントサイトを実現するには、このような作業をサイトの全てにわたって行うこととなります。

サイトのすべてにわたってこのような作業を漏れなく行うことは非常に困難ですが、このようにサイト作成作業を行うことができれば、真の意味で「ユーザに楽しんでもらえる」サイトを実現することができるのです。

また、最後になりましたが、今回のコラムでご紹介したサイトコンセプトの明確化とその作業指針としての利用は、エンターテイメントサイトではなくとも、非常に有効な作業です。

コラムをお読みの方で、もしウェブサイトを担当している方がいらっしゃいましたら、ご自身のサイトでもこの作業を実施することをご検討されては如何でしょうか?

関連リンク
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