2009年11月30日

なぜその見出しはユーザに気づいてもらえないのか

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顔写真
ユーザビリティコンサルタント
大津 裕史

「あ、そこに書いてあったんですね。探していたんですけど気づきませんでした。」
ユーザ行動観察調査を行っていると、時々ユーザの口からこんな言葉を聞くことがあります。

「本文を斜め読みしているユーザが、探していた文字を見落とす」といったケースならまだしも、見出しとして大きく書かれている文字が気づかれないケースも少なくありません。
その原因の一つに、見出し文字が画像要素と判断されて無視されていることが挙げられます。これは例えば、以下のような場合に起こりやすい現象です。

1.画像に画像文字が同化している場合

画像に画像文字が同化した見出しの例

特に「目的にあった文字・文章を探すモード」となっているユーザは、本文のみを追っているため、画像を見飛ばしてしまいがちです。上図のように見出し文字が白抜きになっているケースでは、さらにそのリスクは高まります。
多くの場合、本文の文字フォントは黒系統か青字(リンク)であるため、ユーザの頭の中に「黒や青い文字を追っていれば…」といった思い込みが生じ、白っぽい要素は文字として認識されづらくなってしまいます。
よって、ユーザが文字や文章を追って情報探索を行うであろうページでは、上記のようなリスクを避けるため、見出しにはデフォルト文字または本文のフォントに似た画像文字を使用することをお奨めします。

2.デザインに一貫性がない場合

1つのサイト内で見出しデザインが統一されていない場合、相対的に視認しづらいデザインの見出しを、ユーザが見出しとして認識してくれない可能性があります。さらに、ユーザがある一方のデザインに慣れ親しんでいる場合、新しいデザインの見出し文字に気づかない可能性がぐっと高まります。

このような現象は見出し以外でもよく見られます。例えば、今まで「青字のテキストリンク」で配置していた導線を、ある日「ボタンリンク」に変えたためにクリック率が下がってしまったということはありませんか?
この現象も、今まで通り「青字のテキストリンク」という前提で導線を探していたユーザが、新しいデザインの「ボタンリンク」を見飛ばしてしまったことで生じていると考えられます。

このようにユーザの慣れにも配慮しながら、サイト内で統一されたルールに沿って、見出しや導線のデザイン要素を用意しておくことで、文字や導線の見落としが起こるリスクを少しでも回避することができます。
※ただし、デザイン要素の統一は悪い方向にも働く可能性があることも認識しておく必要があります。ユーザが一度「これは見る必要がない」と思った要素は、その後、内容を変えて表示しても、同じデザインであるという理由だけでまったく見られなくなってしまう可能性があります。

以上の点に気をつけながら、皆さんもこの機会に見出しのデザインを見直してみてはいかがでしょうか。

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