株式会社スターフライヤー 様

マイレージ会員向けモバイルアプリ開発を、体験設計の面からご支援。『気遣い』のサービスという価値をアプリで具体化

会員証アプリの開発を通して、顧客体験を向上させるサービスを実現。

北九州を拠点に、「感動のあるエアライン」という理念を掲げる航空会社スターフライヤー様が、2018年9月からマイレージ会員向けの新しいスマートフォンアプリの運用を始めました。

搭乗回数に応じたステイタスが表示される会員証機能を持ち、スマートにチェックインや搭乗ができる2次元バーコード機能も実装。搭乗予定時刻のお知らせやフライト情報などが提供されるほか、ステイタスの高いプレミアム会員には、オペレーターとのチャットで搭乗便や座席の変更も可能。さらに客室乗務員に画面を見せるだけで、軽食サービスを受けられるクーポンの配信など、お客様をもてなす多彩なコンテンツが、ローンチ早々から好評を得ています。

開発過程において、ビービットはCX(カスタマーエクスペリエンス=顧客体験)と顧客ロイヤルティの向上を目指したコンサルティングをさせていただきました。
その経緯や評価を、株式会社スターフライヤー 営業本部 マーケティング部 顧客マーケティング課長の竹内隆介様に、ビービットの窓口となった宮坂祐(執行役員/エバンジェリスト)と、現場のチームを率いた平井剛直(エクスペリエンスデザイン部門責任者)が改めて伺いました。

※開発したアプリの画面

満足度をさらに高めるための、顧客体験向上への取り組み

株式会社スターフライヤー 営業本部 マーケティング部 顧客マーケティング課長 竹内隆介様

スターフライヤー様は、公益財団法人日本生産性本部サービス産業生産性協議会によるJCSI(日本版顧客満足度指数)の国内航空部門において、2018年度に10年連続第一位の評価を得ました。それほどの実績を持つ同社が、ビービットに期待したことはなんだったのでしょう。

竹内様 「当社はこれまで、機材やスタッフの接客の質など、オントラベルと呼ぶ移動中にご提供するサービスで高い評価をいただいてきました。しかし、この先も当社をいつもご利用くださるプレミアムなお客様を獲得・維持し続けるためには、搭乗前や到着後の、オフトラベルの時間まで私たちとタッチし続けていただける、何らかのロイヤルティプログラムが必要だと考えました。社内のプロジェクトにおいて、『デジタル(アプリ)の活用だろう』という結論までは達し、スターフライヤーらしい個々のお客様に合わせた特別なサービスを提供する具体的なイメージは描けましたが、具体的にどのような価値やサービス・機能が顧客満足の向上に寄与するのかを明らかにするには、プロフェッショナルの手を借りる必要があると考えたのです。そこで、以前からCX向上というメニューに興味を持って情報交換させていただいていたビービットさんに、コンサルティングをお願いしたわけです」

宮坂 「一般的にそうしたアプリに載せるサービスは、マイルのような金銭的なものをすぐ思いつくのですが、それは大手航空会社にはかなわない。一方で、スターフライヤー様の理念にもある、人と心を大切にする接客はすでに高い評価を得ている。そこで私たちは、そのようなスターフライヤー様らしさを最大限に活かせるサービスを開発して、アプリという形に落とし込むことを考えました」

竹内様 「そうですね。私たちも最初は、どのようなアプリやサービスを開発すべきかを考えていたのですが、ビービットさんはまず、スターフライヤーが本来持つ『気遣い』のサービスという強み(価値)を引き出して、それをアプリで具体化してくださったのです」

クライアントを誰よりも理解して強みを伸ばす

株式会社ビービット エクスペリエンスデザイン部門責任者 平井剛直

そのためにビービットのチームがこだわったのは、スターフライヤー様を誰よりも理解して、強みがどこにあり、それをいかに伸ばすかを、共に考えることでした。

平井 「私たちの仕事は、クライアント様を理解するところから始まります。一方で、クライアント様の想いと実際に提供しようとしている体験が、じつはズレていることもあります。私たちはスターフライヤー様のスタッフや、サービスの対象となるお客様へのヒアリングやインタビューを重ね、必要なら耳の痛いことも申し上げながら、スターフライヤー様らしさが活かせるサービスを、共に考え、練り上げていったんです」

竹内様 「たとえば傘のレンタルサービスなどは、その成果の一つでしたね。到着地が雨の時、アプリの画面を空港スタッフに見せるだけで、傘が貸し出されるサービスです」

宮坂 「実はそうしたアイデアは考えつくだけでなく、いかに実現させるかが、本当のポイントなんです。傘の貸し出しと簡単に言っても、傘をどこにストックして誰が用意するのか、といった具体的なオペレーションは、他の航空会社ではなかなかできません。お客様のことを本当に考えて、もてなすことが自然に身についているスターフライヤー様のスタッフだからこそ、実現できたことでした」

竹内様 「オペレーション開発の過程で難題にぶつかっても、現場のスタッフが『こうすればできる』と知恵を出しあってくれたんです。今回のプロジェクトは私たちにとっても、スターフライヤーの価値を改めて発見する機会になりました」

“科学的な手法”と“人間らしく温かい思想”の共存

株式会社ビービット 執行役員/エバンジェリスト 宮坂祐

そうしたサービスとアプリの開発は、科学的な裏付けのある、地道な調査分析をしながら進められました。

竹内様 「アプリのプロトタイプができて、実際に当社をいつもご利用いただいているプレミアムなお客様に試していただく検証段階では、ビービットさんはとことん手間と時間をかけてくださいましたね。コストもかかりましたが、結果を見るとやって本当によかったと思えました」

宮坂 「本当にお客様に喜んでいただけるアプリを作るためには、必要な過程だったんです。試作品をターゲットユーザーに試していただいて評価するプロトタイピング自体は一般的ですが、当社では今回の開発で、1回あたり20人のお客様に対して、一対一で一人当たり70~80分の行動観察を、開発過程で2回実施しています。ここまで愚直に手間のかかる検証をする会社は少ないと思いますし、そうしてこそ、精度の高い結果が得られるのです」

竹内様 「のちに結果を検証してみても、その精度にはびっくりしました。そうした地道で科学的な手法の一方で、オペレーターと搭乗便や座席の変更について直接やりとりできるチャットサービスなど、デジタルでありながら人の手を加えたリアルな、共感性の高いサービスも実現しています」

宮坂 「私たちはドライで科学的な客観評価と、ウェットな共感性の評価、そのどちらも重視しています。たとえば今回、私たちはプレミアム顧客様の調査の過程で、今のどの面に満足かではなく、なぜ、どうやってスターフライヤー様のファンとも言える存在になったのか、というプロセスを知ろうとしました。そうすることで、お客様の本音を引き出し、本当にクライアント様のためになることも考えられるんです」

平井 「スターフライヤー様に限らず、日本の企業はどこもお客様を大切にしています。しかし、そのための施策を考えるときに、ともすれば『うまくいけばお客様に喜んでもらえる』というブラックボックスがある。私たちは、クライアント様とエンドユーザーを正しく知ることで、ブラックボックスを取り除き、施策を運任せにしないお手伝いをしているんです」

精度の高いコンサルティングで顧客体験の向上を追求し続ける

運用が始まったアプリは、年間のダウンロード目標数を月間で達成するなど順調な滑り出しを見せています。

ビービットでは、引き続きスターフライヤー様が追求し続ける「感動」の実現を、顧客体験向上という面から、全力でお手伝いさせていただきたいと思っております。


<株式会社スターフライヤー>
本社:〒800-0306
福岡県北九州市小倉南区空港北町6番 北九州空港スターフライヤー本社ビル
設立日:2002年12月17日(ライト兄弟フライヤー号初飛行から100年目)
資本金:1,250,027千円
代表者:代表取締役 社長執行役員 松石 禎己
従業員数:732名
ウェブサイト:https://www.starflyer.jp/
(2018年時点)