トーク (業界著名人との対談集)

第1回 RSS広告社 田中弦氏×ビービット
「今、インターネットで何が起きているのか」(2006年7月29日)

パート2 圧倒的品揃えとしてのロングテール 前編

田中:
ロングテールの、「今まで2割の商品で8割の売上が上がっていたので、残り8割の商品は放っておいてもよかったのが、 現在では売れ始めてきたので、無視できなくなってきましたよ」、という解釈は確かにその通りだと思います。

でも、売上だけがそうした変化を起こしているのではなく、商品の点数や販売チャネル、知識などもロングテールっぽくなって いるのかな、と思っています。

例えば、渋谷にブックファーストってあるじゃないですか。行ったことありますか?あれってすごく大きいじゃないですか。 あそこが何万冊くらい書籍があるかというと、70万冊くらいあるんです。

ですが、それに対してアマゾンって、今1,000万点くらいあるんですね(※書籍以外の商品も含む総数。/2006年8月現在)。 倉庫に1,000万点を置いておいて、売れればハッピーですよね、という感じになっている。

つまり、これまで本屋さんは2:8の法則で売れると言われる上位2割の商品しか置けなかったのが、それ以外も含めた 1,000万点を置いておいて売れるようになってきた。

それらの膨大な商品の中から好きに検索して、どんどん買えるようになってきたというのは、販売チャネルが変わったから とか、売上が変わったからというよりも、最初から1,000万点という膨大な商品があったので、そうなったんですよね。

それが、いわゆるロングテールの解釈とは、ちょっと違うと考えている点です。

司会:
今のちょっと難しかったですね。初めからあった、というのはどういうことでしょうか?
田中:
つまり、70万冊しかなかったら、それしか売れようがないじゃないですか。更にその中で2:8の法則が起きて、上位2割の 商品が売れているという状況なんですよ、多分。

でもアマゾンには1000万点もの商品数があって、ウェブで検索することもできるので、発見する能力もすごい上がった じゃないですか。だから本当にテールの先端部分の、年に1冊とか2冊とかという本まで売れるようになった。
2:8の法則よりも更に細かいものも売れ出しているんです。

つまり、どういうことかというと、ロングテールのテールの部分が思い切り長くなってきているという状態なんですね。
遠藤:
そうですね。そもそも、なぜそれが可能になったかというと、陳列コストがものすごい低いからだと思うんです。

われわれもECに関わっているのですが、ウェブに載せること自体は100商品でも1万商品でもストレージの価格ってほとんど変わらないので。
司会:
ブックファーストで1年に1冊しか売れない本を陳列しておくコストと比べたら・・・ということですね。
遠藤:
あと、物流コストがかかるので、それはそれで見ないといけないと思いますし、倉庫にかかるコストもあると思うんですが、 とはいっても陳列コストが全然違う。それがロングテールのテールを長くしている、ということですよね。
司会:
あと、在庫の持ち方はどうなんですかね。例えば、自分のところで、全部商品を持って売っているのか、注文が入ってから どこかから取り寄せるのか。アマゾンはどうなんですか?
田中:
アマゾンは在庫を持っていますよ。
司会:
在庫を持っているのですか。それでも成り立つんですね。
遠藤:
例えばアメリカのアマゾンではすごい大きい倉庫を田舎に作ったような気がします。

以前ビービットでは、ある健康食品の通信販売をしている会社のお手伝いをしたことがあるのですが、その際に聞いたのが、 ECの肝は物流をどれだけちゃんと押えるかということ。それで九州のどこかに大きな倉庫を作って、そこで一元管理をしているんだそうです。
司会:
それってすごいことですよね。 例えば渋谷にそれだけのものを作って売るっていったら成り立たないけど、インターネットというメディアが出てきたことで成り立つようになったということですね。